【業界就職最前線】美容は売り手市場が続く。オンライン対策とSNSスキルが必須に
ビューティ・ファッション
当社では、ビューティ・ファッション系の学科・コースを設置している大学、専門学校などにアンケ ート調査を実施。就職の現状や就職指導のしかた、業界の展望などの“生の声”を入手しました。就職を取り巻くさまざまな現状について、一緒にみていきましょう。
新卒採用を再開する企業増える。アイラッシュ人気も続く
美容業界の求人や就職状況について、化粧品業界で一部求人が減少していましたが、その反動で2022年3月卒業生に対する求人数は増加傾向にありました。就職先についてはアイラッシュやネイルのプロを志す学生は年々増加しているようで、色の知識や着付けなど+αの技術と知識が役に立ったという声も多くありました。
美容師の就職状況が好調な一方、化粧品業界とフ ァッション業界にはコロナ禍の影響を大きく受けましたが、少しずつ回復傾向にあるようです。
就職指導はオンライン面接に対応した個人指導を行う学校増える
就職指導については、下部の「Q1.どんな点に力を入れて就職支援を行いましたか?」にある通り、学校が最も力を入れているのは、「個人面談」という結果になりました。ちなみに昨年一位だったのは「面接指導」と「個人面談」でした。コロナ禍での就職活動は2度目ということもあり、オンラインでの企業説明会や面接が定着してきています。オンラインでは、対面の面接以上に伝わりにくいことも多いため、それに対する個人向けの対策を手厚く行う学校が昨年よりも増えているようです。また、本年は授業の一環として1年次から企業説明会や校内ガイダンス、インターンシップを行うなど早めに対策を始める学校も急増しています。「自主性を育めるよう、添削や面接の対策は予約制にしてスケジュールを立て、自分から行動できるようにしました。その結果、面接対策を行う回数が増え、自分の言葉で伝えることができる学生が増えました。」(アイ エステティック専門学校)のように、自主的に就職活動の対策に取り組むことで、より良い結果に結びついたという声も届いています。
インターンシップについてはこれまでの卒業生との深い繋がりによって実現している場合が多いので、進学先を選ぶ際にはそういった視点で情報収集してみるのも1つの手です。
学校に聞いてみました
Q1.どんな点に力を入れて就職支援を行いましたか?
1.個人面談
2.面接指導/挨拶・マナー
4.技術修得
5.職業理解
就職支援の例
●コロナ禍ではリモート面接が主体となったため、リモ ート面接指導強化しました。(上田安子服飾専門学校)
●オンライン面接対策を行いました。(華服飾専門学校)
●求人数が少なくなっていたので早めに動くように指導しました。 (ユニバーサル美容専門学校)
●クラス複数担任制なので、個別面接指導や面談は学生の個性を知る担任が行っています。創立69年の中で7万人以上の卒業生を輩出しており、卒業生との広く深いつながりも実績につながっています。(国際文化理容美容専門学校 渋谷校/国分寺校)
●個人面談を重ねて学生に合うサロンを紹介し、希望のサロンに入れるようバックアップしています。学生たちや保護者の方にも安心して就職活動ができるよう心掛けています。 (愛知美容専門学校)
●授業の一環でインターンシップ(研修)を取り入れ、 1年次より担任や就職担当者と個別面談を行っています。 (高津理容美容専門学校)
●より自身に合った就職先を選べるよう、複数社内定獲得となるよう指導しています。(学校法人ロイヤル学園)
●後悔のない就職活動にするため、企業研究や店舗見学などは1社だけでなく2社、3社と比較するよう指導しました。 (アイ エステティック専門学校)
●就職指導の基本を内定獲得ではなく、働き始めてからのサポートを中心にしている。(ジェイ ヘアメイク美容専門学校)
●業界との太いパイプ、多数の企業説明会の実施、インタ ーンシップの実施で就職活動のサポートをしています。特にインターンシップ企業に関しては、現在も増加を図っています。 (大阪文化服装学院)
Q2.企業が学生に求めるスキルに変化を感じますか?
発信力が就活でも問われるSNSスキルは必須
企業が学生に求めるものについて、この数年で「SNS力」が問われるようになりましたが、今年はその傾向がさらに強くなっています。本年のアンケートでは「有名サロンは学生にInstagramの活用など、セルフブランディングを求めるようになりました」(学校法人ロイヤル学園)、「販売系ではSNSに通じた学生を求めている」(大阪文化服装学院)という声が届きました。実際に、SNSを活用して自社や自身の情報発信やブランディングを行っている美容師や販売職の人は多いです。ファッション・ビューティの業界ではSNSの中でも特にInstagramを活用している場合が多く、面接時にInstagramのフォロワー数を問われることも少なくないようです。SNSは無料で誰でもすぐに始めることができるので、学生のうちから使ってみて、気になるサロンや企業、憧れの人たちの使い方などを研究しておくことは自分の糧になるでしょう。
新型コロナウイルスで就職はどう変わる?業界によっては厳しいところも
人気サロンでは特に動画やオンライン面接などが増えたため、第1印象の作り方などの事前準備を重視した指導を行ったという学校が増えています。接客業では、マスクをした状態での表情も問われることが多いようです。また、求人情報はホームページや学校に届く求人票だけでなく、情報のスピードが早いInstagramでも情報収集を行う必要があるようです。美容室は休業要請対象とならなかったため、美容師志望の学生の就職活動では特別変わったことはなかったようですが、その他の販売やファッション関連の求人はコロナ禍に加えて世界情勢の影響もあり減少が続き、ハードルが上がっています。そういった背景から一般企業への就職を希望する学生も一部見られるようですが、その割合はコロナ禍以前から変化はないようです。より自身に合った就職先を選べるように、複数社内定を獲得できるように指導しているという声もありました。
気になる今後の就職動向。トータルビューティは引く手数多。SNSでは思いやり大切に
美容科の学生の中ではアイリストやメンズ専門サロンなど、より専門的な分野を極めたいという学生が増え、トータルビューティを学ぶ学生が増加しています。アンケートには、「複合的なサービスを提供するサロンが増えているため、美容をトータルで学んでいる本校の学生にとって追い風になっている」(ル・トーア東亜美容専門学校)や「アイデザイナーについては専門店から美容室(トータルビューティサロン)に移行する可能性が高い」(ジェイ ヘアメイク美容専門学校)という回答が寄せられました。理美容業界にはコロナ禍の影響が少なく今後も求人数が増加することが予測されているので、トータルビューティを学んでおくことで将来活躍できる場所をさらに広げることができそうです。
メイクやネイル、ファッションの業界はコロナ禍や世界情勢の影響を大きく受けており、新卒採用に対して慎重な企業が多いようです。そのためこれまでに比べて採用基準のハードルが高くなっているので、志望する学生には確かな技術に加えて情報収集や自己PRなどのスキル向上も求められるでしょう。
就職活動では学生に対してSNS力が求められている一方で、学生からサロンや企業に対してもSNSでの発信力が求められています。SNSを使った情報収集ややり取りを行うことが増えているため、発信力だけでなく、トラブルにつながらないよう倫理観や思いやりの気持ちをお互い大切にすることが肝心です。
(出典:当社実施アンケート)
2022年9月5日更新