
従来のイメージを覆すような店舗が人気に
ライフスタイルに合わせて活用できる
理容室は個人経営の店舗が多いのが特徴です。他業界と比べると従事者の高齢化が進み、後継者不足による廃業も少なくないのが現状です。安価な理容室がチェーン展開する一方、ワンランク上のサービスを提供する「バーバー」と呼ばれる高級理容室の人気が上昇中です。
近年では、ビアバー併設の本格派バーバーがオープンしたり、日常の疲れを癒す豊富なリラクゼーションメニューが選べたりなど、身だしなみを整えるだけでなく上質な時間と空間を体験できる店舗が注目されています。
店舗数・技術者数は毎年増加!長く働ける職場へ
<全国の美容室数> 274,070店
<美容師従事者数> 579,768名
(令和5年度 厚生労働省衛生行政報告例より)
春 88.1%(第51回)
秋 55.0%(第50回)
待遇面の改善とキャリアプラン
美容室は個人経営と多店舗展開の事業者が混在しています。多店舗チェーン展開の美容室は定期的に採用を行っており、前年度と比較しても美容師の従事者数は7,958名増加しています。美容業界では、人材確保のため、社会保険加入など待遇面を改善する動きもみられ、育休後のキャリアが持続可能になっています。だからこそ、キャリアプランを考えて目標を明確にして、スキルを磨きながら長く働ける職場を見つけることが大切です。
アジアコスメの人気上昇・インバウンド需要の回復
2兆4,780億円(前年度比104.6%)
(矢野経済研究所 化粧品市場に関する調査2024より)
1位 資生堂(10,673億円)
2位 コーセー(2,891億円)
3位 花王 (2,515億円)※化粧品事業
4位 ポーラ・オルビスHD(1,663億円)
5位 DHC (874億円)
(2022~2023年版業界動向サーチより)
メイクアップ、スキンケアアイテムの注目度アップ
新型コロナウイルス感染症が収束し、身だしなみへの意識が高まったためメイク用品など低価格帯の高機能商品が好調です。また、韓国コスメ、中国コスメなどのアジアコスメの人気も上昇中で、全体の輸入金額は拡大の一途をたどっており、日本におけるアジアコスメのプレゼンスが高まっています。インバウンド需要も回復しており、化粧品市場規模は今後も成長していくと言えるでしょう。
予測困難な状況だからこそ工夫が求められる
8兆3,564億円(前年度比103.7%)
(矢野経済研究所 2024年発表)
1位 ファーストリテイリング(2兆3,011億円)
2位 しまむら(6,161億円)
3位 アダストリア(2,425億円)
4位 ワールド(2,142億円)
5位 ワコールHD(1,885億円)
(業界動向リサーチ 2022年~2023年版)
海外ブランドのアジア市場参入を見据える
ファーストリテイリングはアジア諸国をはじめとした海外での売上が好調で、売上と店舗数ともに海外が国内を上回っています。2023年の業界全体の業績は、店舗販売とECサイトの相乗効果によりプラスで推移しています。一方で、景気後退などにより多くの企業が低価格競争への参加を余儀なくされています。ブランドの価値を示す努力とともに、国際情勢を踏まえたグローバル戦略の練り直しが喫緊の課題といえるでしょう。
A.余計な水を使用しない固形のシャンプーバーなど、水資源を保護するために処方の中の水分量を減らした化粧品のこと。
ウォーターレスビューティの具体的なアクションは大きく3つあります。①製品自体の処方の水分量を減らす、②製造の過程で使用する水の量を減らす、③消費者が製品を使用する際に必要な水の量を減らす、です。①は製品を粉や固形にすることが多く、パッケージも簡易なもので良かったり、重量も減り輸送にかかる燃料を抑えたりすることができます。②は排水として流れるケミカルの量も減らすことができるなどのメリットがあります。また、ドライシャンプーは洗い流す必要がないため使用の際にも水を使いません。
A.新品・中古にかかわらず、まだ着られる衣類が廃棄されること。
衣服は世界中で大量に作られ、その約半分が売れ残りのため廃棄されています。また、家庭から出る中古の衣服も大量に廃棄されています。新しい衣服は定価で販売され、その後在庫処分セールをする場合もありますが、売れなかった衣服の多くは焼却や埋め立て処分され、焼却時には二酸化炭素(CO2)が発生します。これらの問題を解決するために、多くの企業が課題解決に取り組んでいます。
A.AI技術を活用したスキンケア診断のことで、スマホアプリやオンライン診断で、自分にぴったりのスキンケアアイテムを選べます。
肌のタイプは人それぞれであり、消費者が最適な製品を選ぶには、自分の肌のタイプを理解することが重要です。しかし、自分の顔のどの部分がどのトラブルに分類されるのかがわからないということがあります。AI診断は肌の状態を客観的に分析し、適切な商品を提案してくれるため、効果的にスキンケアを選ぶ参考になります。ただし、自分の肌の反応を見ながら取り入れることが重要です。
A.ライブ配信の動画を活用してユーザーの購買を促す新しいオンライン販売のこと
ライブ配信で商品やサービスを紹介し、コメント機能を介してユーザーの質問に答えていくなど、実店舗販売のように双方でコミュニケーションが取れるのがポイント。静止画やテキストだけでは伝わりにくい商品の使用感がわかりやすく、購入率は通常のECに比べ高い傾向にあります。日本ではまだ認知度は高くありませんが、多様化する消費者ニーズに対応できると期待されています。
A.持続可能な社会を実現するための資源や環境に配慮したテクノロジー、またはサービスのこと
自然由来の素材を使用し、サステナブルで、効果・効能が科学的に実証された高機能な製品を開発する技術として、化粧品業界において注目を浴びています。クリーン&グリーンテックを志向する動きは世界的な傾向で、この分野を牽引しているロレアルをはじめ、化粧品や原料メーカーによるバイオテクノロジー関連企業やスタートアップへの投資や買収も積極的に行われています。
A.廃棄予定だったものに手を加えて、新たな価値を生み出し別の製品として生まれ変わらせること
「クリエイティブ・リユース(創造的再利用)」とも呼ばれており、素材や形などの特徴を生かし、より良いものへと作り変えます。環境負荷を最小限に抑えられ、ものの寿命が延び長く使えるようになります。近年は、ハイブランドも積極的にアップサイクル素材を採用した商品を販売しており、SDGsを取り入れた新たなファッショントレンドとして広がっているようです。
| 資格・検定名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 理容師【国家資格】 ※2025年2月・3月実施 |
1,399名 | 1,152名 | 82.3% |
| 美容師【国家資格】 ※2025年2月・3月実施 |
19,776名 | 17,427名 | 88.1% |
| JNECネイリスト技能検定1級 ※2025年4月実施 |
2,298名 | 1,208名 | 52.6% |
| 日本メイクアップ技術検定1級 ※2025年2月実施 |
‐ | ‐ | 68.3% |
| カラーコーディネーター検定試験®アドバンス ※第57回、2024年10月~11月実施 |
1,325名 (実受験者数) |
600名 | 45.3% |
| カラーコーディネーター検定試験®スタンダード ※第57回、2024年10月~11月実施 |
2,130名 (実受験者数) |
1,512名 | 71.0% |
| 色彩検定1級 ※2024年度実施 |
2,456名 (志願者数) |
‐ | 41.8% |
不況が徐々に改善されていく中、「手に職」の専門職種であるビューティ・ファッション業界では、一部人材不足を指摘する声があがっています。
では就職後はどうでしょうか。初任給について比べてみると(下表を参照)、一般的に4年制大卒者は短大・専門卒者や高卒者よりも給料が高い傾向にあります。しかし、近年では学歴や年齢ではなく個人の素質や実力を持った人材が強く求められるようになってきています。特に、ビューティ・ファッション業界では実力やセンスが問われるため、頑張り次第では収入も大幅に変わっていきます。就職後は学歴を問わず、学んできた技術や知識をどう活かすかが問われていくでしょう。
●出身別の初任給の違いの目安
東京都産業労働局「中小企業の賃金事情」(令和6年版)
| 高校卒 | 専門学校卒 | 高専・短大卒 | 大学卒 | |
|---|---|---|---|---|
| 産業計 | 205,900円 | 218,227円 | 216,804円 | 229,507円 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 202,519円 | 207,317円 | 205,947円 | 222,900円 |
| 卸売業、小売業 | 196,723円 | 206,831円 | 205,813円 | 221,487円 |
(注)この表の初任給は通勤手当を含んでいない。したがって、平均賃金との比較には注意を要する。