【音楽・芸能系学校の先生に聞いた業界就職最前線】
大型会場が各地で開業しイベント系や楽器技術系も人手不足に。
売り手市場は“働き方や福利厚生を重視”する進路選択にも影響か
音楽・芸能
当社では、音楽・芸能業界系の学科・コースを設置している専門学校などにアンケート調査を実施。就職の現状や就職指導のしかた、業界の展望などの“生の声”を入手しました。就職を取り巻くさまざまな現状について、一緒にみていきましょう。
音楽ビジネスのグローバル化は
ワークライフバランスの見直しになるか
コロナ禍前の2019年の業績を抜き、V字回復したコンサート業界。インバウンド需要も重なって、ギター製造・リペア業界は依然好調を維持しています。特に、近年は人が集う“にぎわい街づくり”に音楽の力を活用する動きが顕著になり、バスケットボールBリーグのホーム会場として竣工する各地のアリーナはすべて、音楽ライブを行える多目的型となりました。これは、音楽ビジネス成長の証でもあり、今後も続く「老朽化に伴う地域の体育館建て替え」にも寄与する“産業”としての側面の表れと考えられます。
当社が音楽系専門学校・教育機関に実施した就職に関するアンケートによると、音楽業界にも押し寄せた「人手不足」が顕著になりました。コロナ禍による雇止めから、各社が一気に採用枠を広げていても、補えていない様子です。音楽業界の仕事は、AIに取って代われないものばかり。しかも「長時間労働が当たり前」の職場環境から、働き方や福利厚生を重視した結果、音楽以外の業種職種に就職する傾向も一部みられました。好業績を維持させるためにも、抜本的な見直しが迫られているのかもしれません。
さらに就職先は国内のみならず、K-POP系の音楽事務所からも求人が来るようになり、音楽業界のグローバル化が加速しています。音楽配信の普及から、米ゴールドディスクに日本のアーティストが2人認定され、外資系以外のレコード会社も北米での事業展開を始動させるなど、ドメスティックビジネスからの脱却も注目すべき点でしょう。
就職支援では企業説明会に並び、面接指導、個人面談も重視
当社が音楽・芸能業界の学校に対して実施したアンケート調査では、就職支援で重視したポイントとして同率1位で「面接指導」「個人面談」「企業説明会の実施」を挙げる学校が多くみられました。例年は企業説明会や職業理解によるキャリア教育に重点が置かれていました。そこに更に、企業が個々の技能だけでなく、マルチな人材を求める傾向や、新分野・他業種にチャレンジする学生のために、各校ともバックアップの幅を広げているようです。
【学校に聞いてみました】
Q1.どんな点に力を入れて就職支援を行いましたか?
1.面接指導/個人面談/企業説明会の実施
2.職業理解/インターン
Q2.企業が学生に求めるもの(能力・資格等)に変化を感じますか?
音楽・楽器・エンタテインメント業界。就職に変化は?
【学校に聞いてみました】
Q3.業界の就職動向は、コロナ禍以前に戻っていると感じますか?
具体的にはどんな変化を感じますか?また、どのような就職指導をされていますか?
●求人はここ数年多数いただいている、製造スタ ッフ、リペアマンの募集がさらに増えた印象です。楽器の売り上げが継続的に好調に加え、職種に関係なく人手不足のようで、来年度以降も求人は増えそうです。内外の業界との繋がりを強く持っている当校の卒業生が、国内のギターメーカーであれば全メーカーで活躍していると言っても過言ではありません。(ESPギタークラフト・アカデミー)
●業界全体が人手不足のため、全体的に求人は増えると予想します。今よりもさらにコミュニケーション力が求められる様になると思います。当校では、合同企業説明会の実施、学内オーディションの実施、学生一人ひとりへの個別指導などを行っています。(専門学校 東京ビジュアルアーツ・アカデミー)
●求人数は回復傾向にあります。コロナ禍以降、学生の就職活動報告を学内システムへの入力に切り替え、よりリアルタイムで状況を把握できるようになりました。業界知識を持つ担任と就職支援専門のキャリアセンタースタッフの双方でサポートしており、学内企業説明会や外部講師講座の企画運営も行っています。(横浜デジタルアーツ専門学校)
●経済的ダメージの回復、延期されていたイベントの実施に伴う人手不足により求人は増加しています。1年次からの進路決定対策授業、SPI対策授業、SNS運用やマーケティングセミナー実施。そして、各学生に向けて、総合校ならではの豊富な選択肢を活かしたオーダーメイドでの就職支援を行っています。(専門学校 大阪ビジュアルアーツ・アカデミー)
(出典:当社実施アンケート)
2025年3月4日更新