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【業界就職最前線】音楽業界も「働き方改革」「多様化」が進む。映像編集・配信技術など企業が求める人材にもIT・DXの波

音楽・芸能

当社では、音楽・芸能業界系の学科・コースを設置している専門学校などにアンケート調査を実施。就職の現状や就職指導のしかた、業界の展望などの“生の声”を入手しました。就職を取り巻くさまざまな現状について、一緒にみていきましょう。

業務のオンライン化で“能動的な働き手”を求める傾向も

 2020年から続くコロナ禍は、音楽業界を直撃しました。特に、コンサート・ライブにつては無観客から徐々に有観客に戻りつつあるものの、演者や関係者の中から感染者が出ると公演は中止となり、興行的にも不安定な状況が続いています。2022年は大型野外フェス開催も復活しましたが、感染者数の全国的な増加の影響もあり、来場者数はコロナ禍前に戻せていないようです。この10年あまりは、ライブの大型化によってコンサート業界は飛躍的に伸びましたが、「アフターコロナ」の世界は、元の状態には戻らないと言われています。不確実性の多い昨今、1年ごとの状況を引き続き注視する必要がありそうです。
 当社が音楽系専門学校に実施した就職に関するアンケートによると、いくつかの新しい傾向がみられました。その一つは、映像編集や配信、舞台演出などのIT化に対応できる人材を求める企業が増えたことです。これまでも、動画配信やライブ演出のIT化が顕著でしたが、多くは外注(外部の専門職)に依頼していました。今後は内省化を図り、DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタルやデータによる社会変革)に臨機応変に対応できる人材を求めていることが伺えます。音楽を発信する手段として、 YouTubeやTikTokなどの「動画配信」は重要な位置を占めるようになりました。音楽業界を理解したIT人材が求められているのでしょう。
 もう一つは、これまでの企業就職から「業務委託」という働き方に学生が関心を寄せていることです。業務委託は、個人事業主として就業する働き方です。依頼先との契約をもとに仕事単位で業務を行い、報酬を受け取ります。需要と実力があれば複数の仕事を請け負い、その分収入も増えますので、バリバリ働きたい人には魅力のある働き方です。しかし雇用が不安定なうえ、社会保険の手続や確定申告、納税などを自分で行う必要があります。自由な反面、安定収入を求めるには厳しい側面もあるので、向き不向きがあるかもしれません。
 コロナ禍によって音楽業界でも新たな仕事も生まれ、一部リモートワークも導入しています。企業が求める人材に変化が起こっている一方で、ギターなどの楽器リペア市場は引き続き好調ですので、自分の興味ある仕事は何か、よく考えて見極めることが大切です。

就職支援では企業説明会を重視 オンライン対応も整備

 当社が音楽・芸能業界の学校に対して実施したアンケート調査では、就職支援で重視したポイントとして「企業説明会の実施」「面接指導」を挙げる学校が多くみられました。オンラインの対応が整い、コロナ禍においても社会の変化を見極めながら極力、就業ミスマッチを未然に防ぐために、本人の希望と業界の特性を理解させた上で、コミュニケーションやプレゼンテーションといった社会人スキルを指導していることが伺えます。

学校に聞いてみました

Q1.どんな点に力を入れて就職支援を行いましたか?
1.企業説明会の実施
2.面接指導

Q2.企業が学生に求めるもの(能力・資格等)に変化を感じますか?
企業が学生に求めるもの(能力・資格等)に変化を感じますか?

音楽・楽器・エンタテインメント業界
コロナ禍で就職に変化は?

Q3.新型コロナウイルスの感染症の影響で、業界の就職動向に変化を感じますか?
新型コロナウイルスの感染症の影響で、業界の就職動向に変化を感じますか? 具体的にどんな変化を感じますか?また、貴校では就職指導でどのような取り組みをしましたか?
●コロナ禍であっても、企業様は求人活動、学生は就職活動、互いが求める努力をすることに大きな変化はありません。企業様が見たいのは「本質」。就職活動のフローやテクニックではなく、社会進出そのものを考えていく授業が増えました。(東京ビジュアルアーツ)
●まだ現段階では、新型コロナウイルスの影響を受けて音楽・エンタテインメント業界全体的に仕事が少なくなってきています。音楽・エンタテインメント業界は厳しい状況が続いていたため、他の業界や一般の業種への就職が増えてきています。オンライン説明会やオンライン面接に対応できるようにしました。(尚美ミュージックカレッジ専門学校)
●今まで対面形式にて実施していた就職説明会や面接をオンラインへ変更しました。参加企業の数は変わらず推移。卒業後も継続して再就職・転職進路カウンセリングを実施しています。(東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校)
●求人総数は昨年並みです。しかしイベント系の求人が大幅に減少しており、コロナ禍前の水準に達していません。また、一部の業界では労働環境のオンライン化が常態化しつつあり、一層能動的な学生が求められる傾向が強まりました。低学年からのキャリア教育を実施しています。(横浜デジタルアーツ専門学校)

(出典:当社実施アンケート)

2022年9月20日更新

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