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【保育・福祉・医療・健康系学校の先生に聞いた業界就職最前線】
各業界ともおおむね「例年通り」の中 医療分野などで求人増加の傾向

こども・福祉・心理・看護・医療・健康

当社では、こども・福祉・心理・看護・医療・健康系の学科・コースを設置している大学、専門学校などにアンケート調査を実施。就職の現状や就職指導のしかた、業界の展望などの“生の声”を入手しました。就職を取り巻くさまざまな現状について、一緒にみていきましょう。

医療・福祉業界の人手不足から売り手市場継続か

企業・学生それぞれに大勢では前年より変化なし

 当社がこども・福祉・医療・健康系の専門学校各校に対して行ったアンケート調査によれば、令和6年3月における各校卒業者の就職状況については、回答をした学校のうちほぼ全てが「前年より変わらない」と回答しました。また、ここ数年における学生の内定先や志望する業界・職種に変化があるかどうかについても大半が「いいえ」、企業側が学生に求めるもの(能力・資格等)についての変化についても「いいえ」がほとんどでした。介護・保育業界や看護・医療業界の求人状況、またそれらを志望する学生たちの動きは、大勢ではここ数年大きな変化はないようです。
 もちろん、全く動きや変化がなかったわけではありません。「求人案内数については県外からのものが相変わらず多かったが、県内からも医療分野から保育士募集の求人が増えた」「求人数が増えた分、就職状況も良くなった」(どちらも専門学校尚学院国際ビジネスアカデミー)など、求人数の増加や就職状況の好転について言及する回答もあり、今回の求人・就職状況はほぼ前年通りながら若干上昇、という流れが見られました。

個人・少人数の就職指導にガイダンスやセミナーが人気

 各校における就職支援の特色についての設問では、個人指導を中心に就職セミナーやガイダンス、求人確認システムの整備などの取り組みが中心に挙がっていました。主な回答を紹介します。

●「個人指導に力を入れており、就職担当者とクラス担任が連携し、学生一人ひとりにきめ細やかな指導を行う」(専門学校仙台総合医療大学校)
●「3年次に校内就職セミナーを実施。外部主催の就職フェアにも積極的に参加」(東京歯科衛生専門学校)
●「少人数のゼミ制度を取り入れて就職指導を行っている」(静岡産業技術専門学校)
●「就職ガイダンスに病院の採用担当者を招いて説明会を実施したり、卒業生を招いて勤務先を紹介してもらったりなど、学生と就職先をつなげる場を設けている」(専門学校 健祥会学園)
●「実習で得た気づきを就職に活かすための流れを、丁寧に実践している」(専門学校 沖縄中央学園)
●「学校に届いた求人票を学生がどこでもすぐ確認できるようWebシステムを整備」(専門学校 沖縄統合医療学院)
●「個別指導中心に、面談で就きたい企業を選定する」(専門学校尚学院国際ビジネスアカデミー)

【学校に聞いてみました】
Q1.どんな点に力を入れて就職支援を行いましたか?
1. 挨拶・マナー
2. 面接指導
3.資格取得
4. 実習・インターンシップ
その他、個人面談、企業説明会の実施、履歴書指導など

現況は就活生に有利?企業選びはしっかりと

 最後に、求人状況や就職動向の特徴、業界のサービス等に関する来年度以降の予測・展望を求めた設問については、以下のような回答を得ました。

●「医療・福祉関連の業界全体で人手不足が続いていることから、売り手市場となりやすい就職動向が維持されると思われる」(専門学校 健祥会学園)
●「今後は、待遇面や社内教育制度の充実した企業に人材が流れると考えられる」(専門学校尚学院国際ビジネスアカデミー)
●「週休3日の歯科医院が増えてきた。初任給は年々高くなる傾向がある」(東京歯科衛生専門学校)

 売り手市場ということは、現在の就職動向は就活生にとって有利といえるでしょう。気になる企業の各条件を見定め、自分に合った会社をしっかりと選びましょう。

保育・福祉・医療・健康業界 コロナ禍を経て、就職に変化は?

面接などオンライン対応が定着
これからも引き続き注意して生活を

 新型コロナウイルス感染症によるコロナ禍が国内で発生してから、令和6年時点でまる4年経ちました。昨年には政府によって同感染症の「5類」移行が宣言され、数々の規制も緩和・撤廃されました。社会では観光分野などを中心に、一連の騒動の収束ムードも強まっています。
 業界就職最前線ではここ数年、コロナ禍にあって業界の就職動向に変化はあったか、就職指導ではどんな取り組みを行ったかについて、掲載各校にアンケートを取ってきました。
 コロナ禍の影響で、現在の業界の就職動向に変化はあったか、という設問については「いいえ」が過半数、残りは「どちらともいえない」という結果でした。昨年時のアンケートにおける同様の設問についてもほぼ同様の結果となっています。
 この結果については、コロナ禍以前から各業界、特に保育・福祉業界では人手不足が続き、新しい人材が常に求められていることに加え、コロナ禍がきっかけで導入が進んだ、面接や企業説明会のオンライン化が、多くの企業・学校で定着したためと推測されます。
 実際、コロナ禍の影響で始め、現在も継続している就職指導の取り組みはあるかという設問に対しては、今年も多くの学校が、オンラインでの面接や企業説明会について回答しています。
 ちなみに「現在、就職現場はコロナ禍以前の状態 に戻っていると感じられるか」という問いには、若干ながら「戻っている」という回答がありました。コロナ禍がこのまま収束しても、この分野においては就職動向に大きな変化はないのかもしれませんが、ウイルスの感染者は現在も出続けています。私たちはこれからも社会の動向と、自身の暮らしに注意を払って生活を続けてゆくべきでしょう。

【学校に聞いてみました】
Q2.新型コロナウイルス感染症の影響で、業界の就職動向に変化を感じますか?
新型コロナウイルス感染症の影響で、業界の就職動向に変化を感じますか?
Q3.コロナ禍の影響で新たに取り入れ、現在も継続している就職指導はありますか?
●ネット環境を整え、学生のWEB面接や説明会参加の際に使用している。コロナ禍で移動制限があった際には、遠方の学生に対してリモートでの就職指導を行った。現在もリモートでの指導が必要な時に活用している。(専門学校仙台総合医療大学校)
●オンライン面談の指導。(静岡産業技術専門学校)
●面接指導をハイブリッド(対面・オンライン)で行っている。(専門学校 沖縄中央学園)
●対面での合同企業説明会を行っていたが、コロナ禍よりオンラインでの企業説明会へと切り替えた。企業の説明を録画し、体調不良等で当日参加できなかった学生や、より多くの企業を知りたい学生が後から何度でも見ることができ、好評を得ている。(専門学校 沖縄統合医療学院)
●パネルシアターやエプロンシアターの強化など。(専門学校尚学院国際ビジネスアカデミー)

(出典:当社実施アンケート)

2025年1月7日更新

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