【業界就職最前線】求められるのは専門技術とプレゼン力。地域に縛られない就職活動も広がる
エンタテインメント・ゲーム・アニメ・マンガ・声優
当社では、エンタテインメント系の学科・コースを設置している大学、専門学校などにアンケート調査を実施。就職の現状や就職指導のしかた、業界の展望などの“生の声”を入手しました。就職を取り巻くさまざまな現状について、一緒にみていきましょう。
業界全体で求人数が回復傾向!
日頃の情報収集がカギに
本誌に掲載されているエンタテインメント系の専門学校に実施したアンケートによると、2021年度卒業生の就職活動は、選考のオンライン化や求人情報のクローズド化が進んでいます。コロナ禍の影響を受け厳しい状況にあったコンサートやイベント関連の職種の求人数が少しずつ回復してきており、配信技術やSNSマーケティングの知識なども求められるよう変化しています。YouTubeやTwitterなどを活用してタイムリーな情報発信を行う学校や企業が増えているので、それらをうまく活用して、日ごろから情報収集をする癖をつけておくなど、いざという時に早めに行動できるように準備しておきましょう。
学生に求められている要素は?
デジタルツールの普及によりできることが増えているため、企業が学生に求める技術への期待度も上がっています。加えてコミュニケーション能力も求められ、映像編集や配信、SNSに関する知見があることは就職活動において強みとなるようです。
学校に聞いてみました
Q.令和4年3月卒業者への就職支援として、特にどんな点に力を入れて指導されましたか?(複数回答可)
1.企業説明会の実施
2.面接指導
3.個人面談
就職支援の特色
●低学年からのキャリア教育を実施。/産学連携授業やインターンシップなど実践的な学びのプログラムが充実、姉妹校6校との他分野融合に於ける就職価値観の形成を行っている。/業界経験やスキルを持つ学科担任と就職関連に特化したキャリアサポートセンターが協力し、面接指導や履歴書の添削、業界・職種選びをサポートしている。(専門学校デジタルアーツ仙台)
●Adachi学園グループ18校(九州、大阪、名古屋、東京)でオンラインと対面を合わせたハイブリット式の合同企業説明会を開催。 (専門学校 東京クールジャパン)
●社会に向けて「自分を語れる」人づくりを行う。 (専門学校 東京ビジュアルアーツ)
●就職担当スタッフが駐在し、面接、マナー、履歴書の指導、業界との窓口を務める。/年間約300社が本校内に来校し職業理解を図る合同企業説明会を開催。/業界インターンシップはこれまで計1300社以上。在学中から自分が希望する業界で職業体験を行い、研修先は音楽制作やコンサート制作から出版・編集までさまざま。/キャリアセンターやデビューセンターを通じて卒業後も継続して再就職・転職進路カウンセリングを実施。 (東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校)
●就職支援DXを推進。 (横浜デジタルアーツ専門学校)
●より現場に沿った授業を行う。/在学デビュー(外部案件)を授業に取り入れ、より実践的な指導を行う。/細かい履歴書添削を行い、大手企業への書類通過率が高い。 (代々木アニメーション学院)
●教職員による面接・作品指導に加え、外部の方の面接教室、業界のクリエイターによる作品添削会を実施。(ASOポップカルチャー専門学校)
●就職担当、専任講師だけでなく多数在籍する非常勤講師からも業界の情報提供や就職指導やアドバイスがある。 (静岡デザイン専門学校)
●全員参加必須の定期ガイダンスと「就職面接対策」の授業を就活年度に入る前から開始し、単独企業説明会を積極的に実施。(例年50社前後)(日本デザイナー学院九州校)
コロナ禍での就職指導は?新たな取り組みなど。
令和4年3月卒業生の就職活動は、オンラインの活用が定着していたり、授業などで早めに就職活動対策や業界研究が始められていたりなど、状況に合わせて変革が進み、比較的スムーズに対応できたという声が多く集まりました。また、エンタテインメント業界の中で大きな影響を受けていたライブ・音楽・イベント関連の求人数は徐々に戻りつつあるようです。
スマートフォンやタブレットなどの機材や制作ソフトの普及により、クリエイターを目指す学生には、より専門門的な知識や技術が求められるようになっています。そして、それらを相手に伝えられるプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力は高ければ高いほど活躍の場が広がるでしょう。また、エンタテインメント業界の特徴として、求人情報を広く公開していない企業が増えています。将来就きたい職業がすでに決まっている人は、関わりたい作品や働きたい企業などをよく調べ、求人が出ていなくても自らアプローチできるよう前も って準備しておきましょう。
学校に聞いてみました
Q.例年と比べ、令和4年3月卒業者就職状況はどう変わりましたか?
Q.新型コロナウイルスの感染症の影響で、業界の就職動向に変化を感じますか?
Q.具体的にどんな変化を感じますか?
●ポテンシャル採用への移行。大々的に募集するのではなく、興味を持って問い合わせてくる積極性のある学生を面接するというような採用方式に転換しているところが多い。
●オンラインでの面接が増えたので、受ける企業や面接内容に合わせて指導をしている。
●企業説明会と選考がオンラインで行われることが多く、地方の学生でもアプローチしやすくなっている。
●新卒採用に慎重になり、即戦力を求めている企業が多くなったように見受けられる。
●ゲーム業界では2DCGと3DCGができる方を求められるようになっている。
●巣ごもり需要でエンタテインメントビジネス市場はプラスの影響があったため、採用人数はそれほど減少しなかったが、採用する基準は厳しくなったように感じる。業界を取り巻く環境が変化する中で、最先端テクノロジーを用いた新しい楽しみ方の提案や問題解決に取り組む姿勢が求められているように思う。
●音楽、エンタテインメント業界と幅広く見ると、求人総数は昨年並み。しかし、細かく見ていくとイベント系の求人が大幅に減少しておりコロナ禍前の水準には達していない。また、一部の業界ではオンライン化が常態化しつつあり、一層能動的な学生が求められる傾向が強まった。
(出典:当社実施アンケート)
2022年9月1日更新