ヒトがヘビを恐れる理由 原因は「クネクネ」ではない、あの特徴

動物・環境
2025年は巳(み)年。世界保健機関(WHO)によると、ヘビにかまれて死亡する人は毎年、世界で数万人にも上ります。そんなヘビを、ヒトやサルが本能的に恐ろしく感じる理由は、その「ウロコ」のせいだったとする研究成果を、名古屋大学の川合伸幸教授(認知科学専門)が取りまとめました。
川合教授によると、これまでの実験で、一度もヘビを見たことがないサルがヘビの写真を他の動物より早く見つけたり、人間の赤ちゃんからヘビの写真に強く反応する脳波が検出されたりすることが分かっていました。ただ、具体的にヘビのどのような特徴に反応しているかは未解明でした。
そこで川合教授はヘビの特徴のウロコに注目し、本物のヘビを見たことがないニホンザル3頭を対象に実験を実施。計9枚の白黒写真を使い、8枚は同じ写真だが1枚だけ違う画像をタッチできれば餌がもらえるようにした上で、8枚のイモリの写真と1枚のヘビの写真からヘビを選ばせました。すると8枚のヘビと1枚のイモリからイモリを選ぶより、見つける時間が3頭とも早かったのです。これは、サルが他の動物より早くヘビを見つけるという先行実験とも一致します。
次にイモリの写真にヘビのウロコを画像処理で「着用」させて同様の実験をし、見つける早さを比べました。すると2頭はイモリを見つける早さがヘビと同程度、1頭はヘビよりも早くイモリを発見しました。これらから、サルがヘビのクネクネした動きや形ではなく、ウロコに対して敏感に反応していると判明したそうです。
川合教授は「霊長類の祖先は進化の過程で、ヘビのウロコを見つけるように視覚システムを進化させてきたと考えられる」と話しました。研究成果は2024年11月10日付の科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。
参照:毎日新聞
2025年1月14日更新