動物飼育のスペシャリストに聞きました

株式会社アルパカワールド
アルパカふれあいランド マネージャー
井手 真哉さん

いで しんや▶北海道出身。犬を飼うなど、動物が身近にいる環境で育つ。農業高校卒業後、海外留学を経て、営業職などを経験。「動物の飼育員になれたら」という小さい頃の夢もあり、知人から誘われた長野県にある八ヶ岳アルパカ牧場で動物飼育の仕事を始め、責任者も務める。東京に進出した現在は、「アルパカふれあいランド」の動物飼育及び経営に携わる。

動物を通して人に癒しを提供できる場所を作りたい
動物を第一に考えながら、動物の魅力を広める

動物の健康状態に常に気を配りながら飼育・接客

 1日の飼育業務は、朝1時間ほどのアルパカの散歩から始まり、開店までに、飼育・清掃と、ブラッシング・爪切り・歯切りなどのメンテナンスを行います。「アルパカふれあいランド」の営業時間内は、(エサやり体験などの)接客をメインで行い、閉店後は掃除をして終了です。アルパカは主にペルーに生息していて、標高4~5千メートルの涼しくて乾燥している地域で暮らしています。日本と環境が異なるので、気温や湿度などの環境作りが難しいです。ウサギもいるので、室内は平均20度前後に設定しています。獣医師さんの往診もあります。アルパカは臆病な動物で、警戒心から、つばを吐くことがあります。ここにいるアルパカはつばを吐かないように訓練をしていますが、なるべくストレスにならないよう、散歩を取り入れたりします。接客をするときも、動物が「暑くないかな」「食欲があるかな」など常に気にかけています。

牧場での経験より、責任感を持ち日々勉強

 東京で今の仕事をする前は、長野の牧場でで働いていました。そこで一緒に働いていた方の「都心にもアルパカとふれあえる場所を提供したい」という思い切った提案により、現在のアルパカふれあいランドをオープンするに至りました。牧場で働いていた頃、不登校で苦しんでいたお子さんが、毎日のように牧場に来ていて、動物とふれあうことにより、徐々に学校に行けるようになったということがありました。このような場所が、もっと必要だと私も感じました。東京と長野では環境が変わります。牧場では、持病で生後間もなく亡くなった動物も見てきました。命を扱う仕事なので、責任感を持ち日々勉強し、今の仕事に取り組んでいます。

動物にストレスがかからないように、人に癒しを与えられるように

 動物とふれあうことで人が幸せな気持ちになれる「アニマルセラピー」という言葉があります。ご病気の方、疲れている方などが癒される場所を提供したいです。また、近所の子どもたちもよく来てくれますが、動物とふれあうことは、教育にもなると思います。動物にストレスがないよう、常に気を配りながら、人に癒しを与えるということに、この仕事の大変さを感じます。しかし、ここへ来たお客さんの顔が、次第に癒された表情に変わるのを見ると、有意義なことをしていると思えます。

動物と人のふれあいの場を広めたい

 動物の飼育員は小さい頃の夢ではありましたが、実際、職業でやるとなると責任が伴います。長野の牧場では、動物から命の大切さを学ばされました。動物とふれあえる場所はまだ少ないと思います。私はこれからも、アルパカの魅力を広めていきたいです。また、命の大切さを考えるきっかけになって欲しいと考えています。今後の展望としては、第二店舗を目指し、動物と人のふれあいの場を広めたいと思っています

動物飼育の仕事をめざす高校生へのメッセージ

言葉が通じない分、動物側に立って考え続けることが大切
動物飼育は、命を扱う仕事です。動物を好きな気持ちはそのままで、言葉が通じない分、愛情と責任を持って、動物側に立つ思考を身につけることが、大切だと感じます。相手側に立つこと、多面性を考えることは、どんな仕事においても重要なことだと思います。

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