【業界就職最前線】動物病院は増加。在宅ワークの広がりとともにペットの需要が高まり、求人も安定
動物・環境
当社では、動物系の学科・コースを設置している大学、専門学校などにアンケート調査を実施。就職の現状や就職指導のしかた、業界の展望などの“生の声”を入手しました。就職を取り巻くさまざまな現状について、一緒にみていきましょう。
コロナ禍の影響は限定的。ペットの高齢化などにより動物病院への需要が増えて特に動物看護師のニーズが高い
近年は、医療の高度化などにより、人間と同じようにペットの平均寿命がのび高齢化も顕著になってきています。高齢の動物は病気などにかかりやすいため、動物病院へのニーズも増えていくことが予想されます。実際に、動物病院の数は年々増加しています。特に都市部で増えている傾向があり、ペットへの医療の需要の高さを表したものだといえるでしょう。
当社がペット動物系専門学校に対して実施したアンケートでは「、新型コロナウイルスの影響は限定的で求人数に変化はない」と回答した学校が多数ありました。動物看護の求人については、上記の状況もあり、今後も安定していると考えられます。ただし、愛玩動物看護師国家資格の試験が始まれば、この資格の有無や就職後に資格取得が可能かなどが採用の条件になってくるでしょう。
トリマーの求人についても、例年通り安定していると回答した学校が多数をしめました。ペットショップなどの求人も、同様の傾向です。
動物園や水族館の求人については、学校にもよりますが、働く場所が限られているので、基本的には狭き門ととらえた方がよさそうです。さらに特定の施設で働きたいなどの希望がある場合は、空きポストがあるかなどの運の要素も多分に絡んできます。
挨拶やマナー、個人面談を重視している学校が多い
当社がペット動物系専門学校に対して実施したアンケートによると、就職支援で重視したポイントとして、「挨拶・マナー」を挙げた学校が最も多かったです。社会人になって困らないために、基本的なところに力を入れているということでしょう。また「、個人面談」を重視していると回答した学校が例年より多くありました。これはコロナ禍を経験し、面談をオンラインで行う企業が増えたことも一因だと考えられます。オンラインの面談には、直接対面する場合とは違うマナーや決まり事があります。そうしたオンライン面談ならではのノウハウを伝えることに力を入れている学校も多いようです。
求人は高位で安定。質の高い求人を見極める
経済状況に左右されにくいペット業界ですが、近年はペットの代表格である飼い犬の数が減少傾向です。猫についてはブームなどもあり、ほぼ横ばいで推移しています。そのかわり一頭一頭にかける金額は上がっており、ペット業界全体の売上は上昇しているのが現状です。
当社がペット動物系専門学校に対して実施したアンケートでは、どの学校も基本的に求人件数は安定しており、高位を維持しています。チェーン展開する大手企業の求人・採用は各地で積極的に行われています。また首都圏から地方の学生を求めるケースも散見されます。売り手市場の今だからこそ、求人内容や雇用形態を見極め、キャリアデザインに合わせた就業選択が必要になるでしょう。
学校に聞いてみました
Q1.どんな点に力を入れて就職支援を行いましたか?
1.挨拶・マナー
2.個人面談
3.実習・インターンシップ
Q2.企業が学生に求めるもの(能力・資格等)に変化を感じますか?
変化を感じると答えた学校の意見
●動物病院で愛玩動物看護師資格取得予定者という項目が増えている。
●猫のグルーミングができるスタッフを求めている傾向がある。
●挨拶、礼儀、掃除等の基本的な部分や、人間性を重要視する傾向にある
動物業界 コロナ禍で就職に変化は?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、学校の就職指導にも少なからず影響を与えたと考えられます。ここでは、ペット・アニマル系の専門学校などへのアンケートの回答をもとに、コロナ禍での就職指導の現状を考察してみましょう。
まず、コロナ禍での就職指導の変化として、「オンラインでの企業説明会を実施」「オンライン面接が増えたので、その対策を行った」といった形で、オンライン企業説明会やオンライン面接を挙げる学校が多かったです。またオフラインでの企業説明会・現場実習なども、期間を限って行われるケースが目立ちました。「現場実習の期間が短かったため、限られた中で自分をアピールできるように指導した」「まん延防止措置などにより、実習に行けなくなることも多くあったため、とにかく実習は行けるときにどんどん行くように指導をした」「現場実習の受け入れを断られたり、日数を減らしての実施となった」などの回答をいただいています。また、求人数については新型コロナ以後、増加したと答えた学校が多く、「新型コロナウイルス感染症拡大後ペット飼育者が増加、それに伴い昨年より大阪をはじめ他府県からの求人が増加した」などの回答を得ています。動物系の仕事の将来展望については、「昨今のペットブームは現状変わらないと思うが、動物看護が国家資格になり動物病院としても大きく変化する年になると思う」「コロナにおけるオンライン化が進み、ペットのグッズ販売等オンラインによる販路を開拓する企業が増える。また猫の需要が多くトリミングや簡単なしつけなど、猫を取り扱える人材の求人が伸びる傾向があると思う」「動物業界の活況はしばらく続くと考えている」など様々な回答がありました。
学校に聞いてみました
Q1.新型コロナウイルスの感染症の影響で、業界の就職動向に変化を感じますか?
具体的にどんな変化を感じますか?
●オンラインの面接も増えたことから、面接指導では新たにオンラインでの実施を意識した指導を行うようにした。
●コロナ禍の影響により、求人の来るタイミングが早くなった。
●現場実習の期間が短かった為、限られた時間の中で自分をアピールできるよう指導した。
●インターンシップ前や早期研修など、直接企業様へ出向く際は体調管理・検温を徹底した。
●コロナ感染数が多い場合はインターンシップを中止にする企業様が増えており、就職活動においてのインターンシップの経験が少なくなる傾向にある。
(出典:当社実施アンケート)
2022年9月8日更新