管理栄養士のスペシャリストに聞きました

管理栄養士/学術修士
なかで かおるさん

なかで かおる▶大阪府立大学地域保健学域総合リハビリテーション学類栄養療法学専攻(現在は大阪市立大学と統合し大阪公立大学に校名変更)にて管理栄養士の資格取得。卒業後は栄養教諭と行政管理栄養士として計6年間勤務する。勤務のかたわら神戸大学大学院に進学、学術修士を取得し2023年4月より個人事業を開業。食と心の領域で活動中。

食を切り口に心身の健康を育む

進路の迷いを越えて見つけた“なりたい姿”
身体だけでなく、心の健康を育む支援者へ

 医療関係者が多い環境で育ち、物心ついた時から、将来は健康支援に携わりたいと考えるようになりました。当初は、幼い頃からお世話になっていた祖母が薬剤師であったことから、憧れを抱き、大学進学にあたっては薬学部を検討していました。しかし、病院での職場体験を通して薬剤師の仕事に触れた際、「自分がやりたいこととは違うかもしれない」と感じ、進路を見直すことに。検討を重ねた結果、子どもの頃から食べることや料理が好きだったことに加え、食と身体の健康が密接に関わっていることに関心を持ち、栄養学を専攻。大学進学後、自分の“なりたい姿”がさらに明確になっていった背景には、大学時代に所属していたキャリア形成支援プログラムでの経験がありました。プログラムでは、心理学を基盤としたカウンセリングやコーチングの技法を、実践的な体験を通して学び、自分の中にあった漠然とした迷いや不安が少しずつ整理され、前向きでいきいきとした気持ちになっていったことをよく覚えています。こうした経験を通して、身体だけでなく、心の健康を育む支援者になりたいと考えるようになりました。

違和感をきっかけに、働きながら大学院へ
学びをどう社会に還元するか

 大学卒業後は、心身の健康の保持・増進に寄与したいとの想いから、栄養教諭および行政管理栄養士として教育委員会やこども園に所属し、計6年間勤務。実務に携わる中で、既存の栄養教育のあり方に対する違和感と葛藤を抱える日々が続きました。そのような折、健康心理学に基づいた研究に取り組む研究者との出会いをきっかけに、社会人大学院生としての進学を決意し、神戸大学大学院へ入学。大学院では、食行動と動機づけをテーマに研究を行い、学術修士を取得しました。修了後は、枠にとらわれず、一人でも多くの方の心身の健康の保持・増進に貢献することを目指し、2023年4月に個人事業を開業。個人支援(特定保健指導をはじめとした食事カウンセリング)からはじまり、ヘルスケアコラムの執筆や研修の企画・提供などを通して、心身の健康づくりに携わってきました。

大学院での学びが教えてくれた、もう一つの意味
支援者を支えるという新たな視点

 栄養教諭および行政管理栄養士として計6年間勤務する中で、既存の栄養教育のあり方への違和感だけでなく、支援者自身が心身ともに疲弊してしまう状況を数多く目の当たりにし、強い問題意識を抱いていました。大学院進学は、支援者としての支援力を高めたいという想いからでしたが、学びを深める中で、健康心理学をはじめとした心理学の知見は、支援する側の心身の健康の保持・増進にも重要であることに気がつきました。現在は、これまでの原体験も踏まえながら、管理栄養士をはじめ、さまざまな現場や状況の中で心身の負担を抱えやすい健康支援に携わる方が、無理なく持続的に支援を続けられる状態を目指し、そのための支援と教育に力を注いでいます。

既存を大切にしながら、固執しない
一人でも多くの方の心身の健康を育むことを目的に据えて

 これまでの活動を通して、できるかできないかではなく、「どうすればできるか」を妥協せずに考え、前向きに進み続けている方とたくさん出会い、多くの勇気と希望をいただきました。既存の形は、これまで諸先輩方が築き上げてこられた大切な財産であり、尊敬の念とともに大切にしていきたいと考えています。一方で、既存の形に固執するのではなく、一人でも多くの方の心身の健康を育むことを目的に据えながら、自分自身の生き方とも重ね合わせつつ、引き続き、価値提供のあり方を柔軟に模索していきたいと考えています。

管理栄養士をめざす高校生へのメッセージ

すべての気持ちが、未来のスパイスになる一可能性は無限大
歩みを進める中で、不安や期待をはじめとした、さまざまな気持ちが生まれることがあるでしょう。そうした感情は、未来を形づくっていく大切な一部になり得ます。これから先、さまざまなご縁や経験を重ねる中で、今はまだ想像していない未来が現実になっていくことがあるかもしれません。同じ時代を生きる者として、ともに歩みを重ねていけましたら幸いです。

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