ブーランジェのスペシャリストに聞きました

株式会社ZOPF
製造
小笠原 渚さん

おがさわら なぎさ▶山形県出身。高等学校を卒業後、仙台YMCA国際ホテル製菓専門学校(現在は仙台YMCA国際ホテル専門学校に校名変更)に入学。製パンの技術はもちろん、調理やマナーについても学び、卒業後は株式会社ZOPFに入社。カフェやレジ業務などを経験して専門学校での学びを生かしながら、現在は製造業務に従事している。

子どもから大人まで、たくさんの「美味しい」が見たい
好きだからこそ頑張り続ける理由になる

趣味はパン屋巡り
子どもの頃の記憶はいつまでも残る

 昔からパンが好きな子どもで、パン屋さんに通って好きなキャラクターのパンを食べていたことを覚えています。小学生から中学生にかけても、地元のさまざまなパン屋さんを巡っては、お店ごとに変わる雰囲気やパンの味を楽しんでいました。高校生活では、バレー部の一員として部活に打ち込んでいたため、以前よりはパンに触れる回数は少なくなりましたが、進路選択のときには迷わず製パン業界を志しました。自分の好きなことをしたいという気持ちが強かったからです。
 私が通っていた専門学校は、プロとしてお店で働いている先生が多く、マンツーマンで指導を受けていたため濃密な学習ができていたと思います。就職活動のときも、地元に帰るか上京するかを迷っていた私に、「今しかできないことをやったほうがいい」と背中を押してくれました。そのおかげで決意することができ、松戸市にあるZOPFに入社しました。

好きなことは辛いよりも楽しいが勝る

 入社してすぐはカフェやレジ業務を経験しました。お客様とコミュニケーションを取る場面も多く、良い機会になったと感じています。お客様の笑顔を見ることができるのは嬉しかったですし、今のパン製造のやりがいにも繋がっています。
 現在は、工場で製造担当として主にクロワッサンやデニッシュなどの折り込みパンを作っています。お休みの日は同期と気になっているパン屋さんに行って食べ比べをするのですが、折り込みパンの担当になってからはその系統のパンが目に付くことが多くなったと感じます。パン製造は一日として同じ日がないため難しい作業です。粉の状態や気温、湿度、触る人によっても生地感が変わってしまうため毎回触って確認したうえで判断します。綺麗に成形できても、焼いた後に上手くいかないこともありました。また、時間に追われながら段取りも考えなければいけないため、慣れるまでは大変でした。スピードも大事ですが、雑に作られたパンはお客様にも喜んでもらえないため、丁寧さも重視しています。難しいけどやりがいがあり、勉強になることが多く、常に成長を感じられます。以前、店長の技術を見せていただいたときに、あっという間に綺麗に成形されるパンを見て、まるで魔法の手のようだと感動しました。いつか私も、店長のようにパンを作りたいと思いました。

“もったいない”からフードロス削減へ

 私がZOPFに入社した理由の一つに、お店のスタイルとして最後までパンを出して売り切れがない状態を保つため、閉店近くに来るお客様も選べるところがあります。そして、余ったパンは廃棄するのではなく、冷凍して配送する仕組みを作り、フードロスにも配慮しています。就職活動を行うときに、フードロスが問題になっていることを知り、自分自身も何ができるか考えていました。だからこそ、パンが好きな人のもとに余すことなく届けるというお店の理念に共感しました。

思い描く夢の両立のために

 今後の最終的な目標は、自分のお店を持ち、老若男女問わずに自分が作ったパンを食べてもらうことです。お客様ともコミュニケーションをとりながら、いろんな人の「美味しい」という顔が見たいと考えています。私はパン職人になることと家庭を持つことの2つの夢があります。そのどちらも諦めたくありません。地域の人に愛されて、自分の家族や周りの人に囲まれながらパンを作っていきたいです。そのためにも、今できることを頑張りたいと思います。

ブーランジェをめざす高校生へのメッセージ

選んだことに後悔はないほど好きな仕事を見つけてほしい
パン製造は大変なこともありますが、知れば知るほど深くて面白いと感じます。どんどん興味が出てきてしまうので限界はありません。また、食べてくれる人が美味しいと感じてくれることが私も嬉しく、みんなを幸せにすることができるいい仕事です。パンに限らず、自分の好きなことを仕事にする人は気持ちが続き、しんどくてもその気持ちがあれば頑張ることができます。私自身も、半分は趣味ですが、勉強という面も含めてさまざまなお店のパンを食べて気持ちを継続させています。みなさんも好きなことに興味を無くさず、好きな気持ちを持ち続けてほしいです。

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