ディスパッチャーのスペシャリストに聞きました

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全日本空輸株式会社
オペレーションマネジメントセンター
国際線 運航管理者・アシスタントマネージャー
松本 巧さん

まつもと たくみ▶明治大学商学部卒業。2013年、全日本空輸株式会社入社。関西空港で1年間勤務したのち運航管理者の資格を取り、ディスパッチャーとなる。現在は羽田空港で国際線の運航管理者を務めるかたわら、同職のアシスタントマネージャーとスーパーバイザーも兼任している。

知識や経験を駆使してトラブルを最小限にとどめ飛行機が無事に着けた瞬間が大きなやりがいです

「地上のパイロット」になりたい

 もともとは航空機のパイロットになりたくて、就活の際にANAに応募しました。そちらには採用されなかったのですが、同時に募集があった総合職(現:グローバルスタッフ職)の方で内定をもらいました。総合職の中にはディスパッチャーという職務があって、それはパイロットを身近にサポートする「地上のパイロット」ともいわれる仕事と知り、是非やりたいと思いました。
 入社して1年間は運航支援者として働いたあと運航管理者の試験を受け、資格を取得し、はれてディスパッチャーになれました。

飛行プランを作り、さまざまな情報を伝達

 ディスパッチャーには、大きく二つの業務があります。ひとつは、航空機が飛ぶ際に必要な「飛行実施計画(フライトプラン)」の作成です。私は現在国際線を担当していますが、羽田空港からニューヨークの空港まで飛ぶ便の場合、その飛行する経路に高度、積載する燃料の量といったプランを一便ごとに決めます。また、予定した空港にトラブルで降りられない場合に代替として降りる空港についても、プラン内で選定します。
 もうひとつは「飛行監視(フライトウォッチ)」で、実際に飛んでいる便に、地上からさまざまな情報を伝えてパイロットをサポートします。例えばある機体のフライト中に揺れが起きた場合、同じ空域を飛んでいる別の機体に、この空域のこの高度で揺れがあったから安全な高度に移るよう連絡します。他にも、ある空域で雨雲の発生を確認した際には雲の一帯を伝えて回避をアドバイスしたりとか、機内のお客様が体調不良となった際には病院の近い空港を教えたりとか、そういったアドバイスも送ります。
 プランができたなら、あとはそれに従ってフライトウォッチの仕事となります。フライトプランとフライトウォッチのどちらを担当するかは、その日のシフトで変わります。

一人で判断せず、仲間と情報を即共有

 台風などで目的地の天候が悪い場合、過去の経験をもとにある程度の見立てをします。雲の速度がこれくらいなら、これだけ時間が経てば目的地の空港の天気はこの程度まで回復する。それなら何分後に空港に着くよう飛べば問題なく着陸できると判断し、パイロットに情報を伝えます。そんなふうに知識や経験を駆使してトラブルの影響を最小限にとどめ、飛行機が無事に着けた瞬間、大きなやりがいを感じます。
 仕事においては、何よりも安全を第一に臨んでいます。さまざまなイレギュラーが毎日のように起こる中、少しでもひっかかりが生じたら一人で判断をせず、仲間のディスパッチャーたちと即時に情報を共有します。それが解決の必要な状況ならみんなで対処する。そういった心がけが、多くの人たちの安全につながります。

ディスパッチャーをめざす高校生へのメッセージ

しっかり勉強すれば、誰でもなれる仕事です
ディスパッチャーは、特別な素質や経験がなくても、しっかり勉強さえすれば誰でもなることができる仕事です。技量についても、実際に働きながらいろいろな経験を積むことで深まっていきます。私自身も、最初はドラマなどの影響でパイロットや飛行機に憧れて、そこから航空業界をめざし、今こうしてここで働いています。もしあなたがこの職業に興味を持ってくれたのでしたら、頑張ればきっとなれますので、 この世界に来てくれたらうれしいです。

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