在宅救急のスペシャリストに聞きました

在宅救急センター
救急救命士
壽 透さん

ことぶき とおる▶大学在学中に救急救命士を志し、卒業後は首都医校に進学。救急医療を学びながら救急救命士資格を取得する。首都医校を卒業後、民間救急(介護タクシーといった患者様を送迎する業務)や訪問診療クリニックを経て2020年、在宅救急センターに入職。在宅救急の現場で、培ってきた経験や資格を活かす。

新たな可能性を広げて
救急救命士として患者様のためにできることを

患者様に寄り添うために新たな役割を確立

―現在のお仕事を志したきっかけやご経歴は?

 大学時代に、父を交通事故で亡くした際、救急隊の方々の懸命な姿を目にしたことがきっかけで、自分もこのような仕事で人の助けになれたらいいなと考え、大学卒業後に専門学校に進学することを決意しました。
 救急救命士の資格を取得後、資格を活かすなら消防機関ではないか、と考えていましたが、公務員試験や年齢の制限といった様々な壁があったため、卒業後は民間救急の仕事に就職しました。患者様をご自宅から病院に連れて行ったり、病院からご自宅に帰してあげたりするなかで、もっと患者様と関わりを持ち、資格を活かせる仕事に就きたいと考え、在宅医療の現場に。先生と訪問診療を行い、患者様に寄り添えることにやりがいや魅力を感じ、身の回りの環境のことなども踏まえて、今のクリニックに入職しました。

―主な業務内容を教えてください。

 現在、役割としては受付業務・出動業務・単独業務があり、日によって各々を担当します。受付業務は、患者様から連絡が来た際に初めに対応する役割があり、出動業務は、先生を連れて患者様のご自宅まで行って、先生のフォロー等を行います。単独業務は、先生より先に救急救命士のみが単独で患者様のところへ行き、バイタル測定や情報収集を行い、先生がスムーズに往診を行えるようにします。
 どの役割も患者様を診るうえで欠かせないですが、特に単独業務は私たちが最近になって確立した役割で、私たちの強みでもあります。時間が経っても来ないとなると、患者様の不安は大きくなりますが、単独業務はその不安を和らげることができます。また、先生の診療時間も短くなって、次の患者様のところにも早く行ける、といったメリットもあり、どの立場から見ても良い結果を出せる役割だと考えています。


在宅救急センターカー(緊急車)。専用ルートで日々緊急往診対応をしています。


単独業務では、バイクを利用して患者様のご自宅を訪問します。

一人ひとりに向き合い、安心を届ける
経験を積み重ね、より良い方向へ導く

―これまでのお仕事の中で、印象深かったことは?

 単独業務を開始した際に、「もう来てくれたよ」とご家族の方が患者様に声をかけてくださったときは、「やってよかったな」と思いました。また、私たちは先生をサポートする立場なので、患者様やご家族の方とお話しする機会が多くありません。ただ、そのなかでも、私が着いた時に「壽さんが来てくれたから大丈夫」と言っていただけたことがあり、その言葉は今でも印象に残っています。往診後も、「ありがとう」という言葉をいただけることや、患者様の診断結果やその後の状況を知ることができるのは在宅救急ならではだと考えます。また、その度に患者様に寄り添うことができていると実感し、やりがいにも繋がります。

―お仕事の際に心がけていることは?

 一番は、相手の立場になって考えることを心がけています。相手の立場を考えないで仕事をすると、医学的な判断でしかなく、不安があって連絡をくれる患者様から見たら冷たい印象になってしまうため、決めつけずに心情を汲み取ってあげることを意識しています。
 また、いろいろなことに挑戦して、経験を積むようにしています。その過程で否定的な意見をもらうこともありましたが、行動で示すことで納得してもらい、結果的に良い方向へ進んだと考えます。そして、次の世代の人たちのためにも、ベースの底上げといったできることを行い、新しい取り組みを取り入れた際に、対応できる力を身につけられる環境づくりを心がけています。

救急救命士をめざす高校生へのメッセージ

チャレンジ精神を持ち、まずは行動することが成長への第一歩
チャレンジ精神を持って取り組んでほしいな、と思います。その場で考えて、「これはダメかな」と結論を出して行動しないと何も成長しない。逆に、失敗だろうと成功だろうと、行動に移すことで何か得られるものがあると考えているからです。実際に行動してみれば、「こういうこともあるんだ」という発見ができると思うので、いろいろなことに積極的に挑戦してほしいです。

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