アパレルデザイン&ブランド・ショップ経営のスペシャリストに聞きました

株式会社ポットアンドティー
代表取締役/デザイナー
松井 翠さん

まつい みどり▶埼玉県出身。私立女子高校、四年制大学、服飾専門学校へ進学。埼玉県立高校の繊維デザイン科講師、アパレルメーカー「AMBIDEX」パタンナーを経て2013年「pot and tea」立ち上げ。セレクトショップやユーザーの口コミで地道に顧客を獲得し2019年法人化。SNSやPOP UPを全国で展開して人気を集め、2025年横浜市に直営店オープン。2026年7月スタートのTVドラマに衣裳提供など活躍中。

高校講師、パタンナー、アパレル販売、そしてデザイナー…
ファッションの仕事を広く経験して「服作り」を天職に

大学進学後も夢をあきらめず
クリエイティブの道を選択

 子どものころから“ファッション一筋”で洋服やアクセサリーを手作りし、休みには電車に乗って原宿・代官山・渋谷に通うような高校生でした。将来は服飾関連の仕事に就きたいと希望しましたが、進路選択で両親と意見が合わず、美大や服飾専門学校を断念して文学部に進学し、ジャーナリズムを専攻しました。ファッション雑誌のエディターを視野に就活時期を迎えて「会社員ではなくクリエイティブな仕事に就きたい!」と改めて決心し、卒業後は服飾の専門学校へ進学しました。

高校生に手作りの楽しさを伝える講師から
メーカーのパタンナーへ転職

 社会人のはじめは県立高校の繊維デザイン科で縫製指導の非常勤講師になりました。高校生との時間はとても楽しく、安く簡単に服を買える時代だからこそ洋服づくりの経験を通じて、生徒たちに「手作りの楽しさ」を伝えたい、という思いで指導していました。やりがいはあったものの、アパレルメーカーでデザインの仕事をしたいという初志を貫き、3年で転職。メーカーでは希望していたデザイナーではなく、パタンナーとして配属されました。自分のやりたいこととは違う業務内容でしたが、アパレル製造の基本を修得でき、有意義な在職期間でした。

独立後もアパレル販売バイトを掛け持ちして
服作りを継続し6年で軌道に乗せる

 2013年に独立し、現在のブランド「pot and tea」を立ち上げました。最初は手作りの布バッグ1個をセレクトショップのバイヤーに買ってもらうような状態で、生活のために週5日アパレルショップで販売のアルバイトをしながら製作の日々。それでも、「服作りをしたい、好きな仕事をしたい」という思いが常に勝り、途中で辞めようと思ったことはありませんでした。今のように個人で作品を作りSNSや専門サイトで直売するような仕組みもなかったので、地道に創作活動を続けました。次第にセレクトショップでの取り扱いやお客様の口コミが広がり、6年で本格的な事業化までたどり着きました。

長い時間をかけてブランドを育て
12年目で念願の直営店オープン

 2025年の終わり、横浜に直営店をオープンしました。ずっと構想していたことが実現できて本当に嬉しいです。ブランド立ち上げから12年かかりましたが、今は「焦らないで良かった」という実感があります。長い時間をかけてブランドを育ててきた自負もあり、本来ならば大掛かりな作業となる“新店舗開店”も比較的楽に進められました。

お客様の声を大切にする服作り

 直営店や全国のPOP UPでは、お客様と直接お話をする時間を大切にしています。そこから作品作りのヒントを得ることも多いからです。商品である以上デザイナーの独りよがりや作家性に固執せず、お客様の声を活かしてバランスを保ちながら、好みやライフスタイルに寄り添った製品づくりを心がけています。今夏にスタートしたTVドラマの衣裳提供など新たな展開にも恵まれ、日々感謝しながら活動しています。

ファッションデザインに興味のある高校生へのメッセージ

好きなことは形になるまで続ける
自分の好きなことを大切に、「できない」と初めから思い込まないこと。「できるし、やる!」という気概も大事です。途中、希望どおりの業務に就けなくても自分の中でゴールがあるならば、形になるまでぜひ続けてください。今はSNSを活用した作品発表ができる強みもありますので、服作り以外の業務も一通り経験できれば、個人で起業することも可能です。

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