環境分析のスペシャリストに聞きました

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株式会社日本分析
分析課 検査員
大内 銀海さん

おおうち ぎんか▶理系の高校を卒業後、目には見えない微生物への興味から生物系の学問が学べる大学に進学。大学卒業後、溶剤メ ーカーの営業を経験した後、より生物や化学の知識を活かせる仕事がしたいと考えて、株式会社日本分析に入社し、水質検査の業務に携わっている。今後は、環境計量士や公害防止管理者の国家資格の取得を視野に入れたいという。

世界でも稀な飲める水道水の安全を支える仕事
分析は個人プレイが中心だがチームワークも必要

水道水などを計測し安心・安全を支える

 私がメインで担当させていただいているのはイオンクロマトグラフ(溶液の中に含まれるイオンを分離・検出するための化学装置)を使って、水道水などを計測する仕事です。測る項目は、フッ素、塩化物イオン、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の4つになります。フッ素は適量摂取は良いですが、高濃度では斑状歯の症状が現れるおそれがあり、塩化物イオンは高濃度では味覚を損ないます。亜硝酸態窒素と硝酸態窒素は、井戸水などに土などの成分が混入したときに検出されます。特に、亜硝酸態窒素は乳幼児等が摂取した場合、健康に影響が出るおそれがあります。これらの項目が、日本の水道水が安心して安全に飲める基準に合格しているかを検査しています。世界でも水道水を飲めるのは、日本を含めて9か国2都市しかありません(取材時)。

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プールの水などの検査で夏場が繁忙期

 イオンクロマトグラフの検査の合間の時間で、滴定(溶液に別の溶液を入れることで、溶液中の特定の物質の量を測定する分析手法)を使ったプールの水などの検査も担当することが多いです。夏場になるとプールが始まり依頼が増えるので、弊社は6月~9月が繁忙期になります。他には、排水中のCOD(Chemical Oxygen Demand;代表的な水質の指標の一つ)の滴定を担当することもありますし、pH(水素イオン濃度)の測定をやらせていただくこともあります。

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想定で動かず、人から話を聞くことが重要

 仕事で大切にしていることは、「安心しない」ということです。分析の仕事は、基本的に毎日やることが決まっています。だからこそ、「いつも、同じだから、これも大丈夫だろう」と想定で動いてはいけないと考えています。また、この仕事は基本的には、個人プレーなのですが、周りに意見を求めるということも重要になります。担当が違う人にも聞いてみると、担当が違うからこそ出てくる意見もありますので、色んなところから情報を収集するのがベストです。ですから、チームプレイも必要なのです。もちろん一人で分析するときは、集中して作業をしますが、困ったときには頼れる仲間がいるということを心に留めておくと、イレギュラーなことが起こったとき、助けてもらえます。

営業と分析の橋渡し的な仕事も担いたい

 弊社では、営業課と分析課の相互のコミュニケーションを向上しようというプロジェクトが立ち上がっています。私も若年者でありながら、その一翼を担わせていただいています。若いからこそ出せる意見を出して、営業課と分析課の橋渡し的な役割を担えたらと考えています。お客様からの信頼を守っていくためには、まず自分の会社の環境をより良くしていかなければならないと思っていますので、今後、力を入れて取り組みたいです。

環境分析の仕事をめざす高校生へのメッセージ

学び続けることや人や情報に興味を持つことが大切
環境分析の知識を得るには、勉強し続けて最新情報を把握する努力が必要です。また、コミュニケーション力や情報の収集力は、若い頃から積み上げないと、身につけるのは難しいです。視野を広げて、他人と接し、色んな情報に興味を向けてほしいです。

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