自動車整備のスペシャリストに聞きました

HMR 株式会社
メカニック
手代木 洋輔さん

てしろぎ ようすけ▶東京都立総合工科高等学校 機械・自動車科を卒業後(三級自動車整備士を取得)、東京スバル株式会社に就職して5年間、自動車整備士として勤務(この間、二級自動車整備士を取得)。その後、若手でもレースメカニックを経験できることなどに魅力を感じて、東京都西多摩郡瑞穂町のスポーツカー専門店、HMR株式会社に転職し、現在に至る。

幼い頃から車一筋で進んだ自動車整備士の道
レースメカニックの経験が日常の整備にも活きる

生粋の車好きで進路も迷わず自動車の道へ

 幼少の頃から車が大好きでした。これは、スーパーカーやF1が流行った時代を経験した、両親からの影響も大きいです。1歳や2歳の頃から、東京モーターショーやオートサロンなどのイベントに連れて行ってもらっていました。中学生になると周囲の同級生たちは、ドラマや歌番組のことを話題にし始めます。しかし、私はケーブルテレビのカーレースや、『名車再生!クラシックカー・ディーラーズ』という凄腕のメカニックが活躍する海外のバラエティ番組などに熱中しました。ですので、高校を選ぶときは普通科は全く目に入りませんでした。どうせなら好きなことをしたいという思いで、迷わず自動車が学べる学科に進学しました。

納車点検がメインで時にはレースにも参加

 現在は、成約が決まった車の納車点検がメインの仕事です。法定24ヶ月点検の内容が中心ですが、スポーツカー専門店ならではの点検も行っています。たとえば、車種別のウィークポイントの点検や、自動車の操縦性や安定性を見るためのフィーリング評価などです。また弊社は、HMR Racingというチーム名で、スーパー耐久シリーズや富士24時間レースに参戦しています。こうしたレースにも、レースメカニックとして参加しています。レースメカニックとしての経験は、日常の納車点検にも役立つことが多いです。

レースでは時間管理とチームワークが重要

 レースのときの整備と日常の整備との違いは、レースではとにかく早く車をコースに送り出さなければいけないということです。ですので、レースでは整備のクオリティが求められるはもちろんですが、それを短時間で行わなければなりません。それに対して日常の整備では、お客様に満足していただけることを考えて作業しています。たとえ時間をかけてでも、お客様に喜んでもらいたいという気持ちです。しかし、レースの場合、1分1秒を争っていますから、日常の整備以上のことを時間をかけずに行うことになるわけです。ですので、レースメカニックをやっていると、時間を管理する力が鍛えられます。また、レースでは普段の仕事以上に、チームワークや協調性が求められます。そうした面では、幼少期からサッカーを続けてきた経験が、レースメカニックとしての仕事にも活きていると感じています。

いざというときに助けてくれる仲間を持つ

 仕事で大切にしていることは、見落としをしないことと、会社の人とのコミュニケーションです。見落としをしないために意識していることは、余分に時間をかけてでも、しっかり確認することです。コミュニケーションについては、単に仲良くなることも大切ですが、いざというときに助けてもらえる仲間がいることが何より重要だと思います。そうした関係性を作るには、まず1番はあいさつです。「朝のあいさつは、自分からすること」を心がけています。あとはプライベートでも同じですが、相手の話に興味を持って耳を傾けることです。さらに踏み込んで質問を重ねることで、相手が気持ちよく話せるように促すことが大切だと思います。

何でもこなせるメカニックを目指す

 今後の展望としては、レース活動のうえでは、もっとカテゴリーが上のクラスにも挑戦したいと考えています。また、日常業務では、現在は納車点検がメインになり、エンジンやトランスミッションを載せ替えるような大掛かりな作業については、経験がまだ不足しています。ですので、そのような経験も積み上げていき、何でもこなせるメカニックになりたいです。

メカニックをめざす高校生へのメッセージ

自動車整備は腕さえあれば格上ともわたりあえる世界
メカニックに、年齢や学歴は関係ないということを伝えたいです。実力次第で、年齢や経験が上の人ともわたりあえる世界です。また、基礎をしっかり身につけることも重要です。私は、高校の機械・自動車科でボルトの締め方などを基礎から学びましたが、そのときに教わったことのすべてが今の仕事のベースになっています。