SNSとAIが大きく変える、災害救助の現場…被害状況を素早く把握

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災害発生時の被災自治体の情報集約といえば、従来、通報などで寄せられた被害情報をホワイトボードや地図に書き込んだり、関係機関とFAXや電話で共有したりする手法が長い間取られてきました。会議室などに置かれた「災害対策本部」の中のアナログなやり取りで、災害への対応が行われてきたわけです。
一方、近年はTwitterやLINEなどSNS上での救助要請や被害情報の発信が急増。東日本大震災では発生当日だけでTwitterへの投稿が約3300万件に達するなど、SNS上に集まる膨大な情報の活用が課題となっていました。
こうしたことから情報通信研究機構やIT企業も、情報をAIで分析・整理しweb上で公開するなどの取り組みを行っており、各自治体での活用が進んでいます。例えば神戸市では、LINEなどの民間企業や自治体、研究機関などで作る「AI防災協議会」が運用する、AI自動対話システム「防災チャットボット」を導入しました。LINEで「友達登録」をした市民が被害状況や位置情報、写真を入力すると、AIが情報を分析・整理し、自動的に地図に落とし込みます。情報は市民もスマートフォンで確認することができる仕組みです。台風19号では実証実験中にもかかわらず、市内全域から108件の情報が寄せられ、活用されました。
また「Yahoo!」では2019年秋に約2週間にわたり、試験的にスマホ向けの防災通知アプリ「Yahoo!防災速報」に新機能「災害マップ」を追加、利用者が周辺状況を投稿し、アプリの地図上で共有できるほか、特定の場所で災害に関する投稿が一定数以上集まると、スマートフォンに退避を促す仕組みも盛り込みました。
大規模災害や新型ウィルスの流行など、危機管理が問われる場面が増加しましたが、こうした技術は今後、危機に対するスピーディな対応に役立てられそうです。
[参考]産経新聞2020年1月17日付web版
2020年2月19日更新