ブーランジェのスペシャリストに聞きました

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ながた ゆうき▶1980年神奈川県出身。県内の高等学校を卒業後、1998年㈱神戸屋レストラン入社。成城店を皮切りに首都圏の店舗で製パン業務を担当。2012年製パンの世界大会「クープ・デュ・モンド」日本代表メンバーとして団体優勝。2014年「第2回マスタード・ラ・ブーランジェリー」パン部門個人優勝、世界の最高峰「2014 MasterBaker」に輝く。現在は関東本部で商品開発、後進の指導など活躍。

おいしいパンで世界中の人を笑顔にしたい

自立と安定を求めて老舗製パン会社へ就職

 高校生の時から「早く自立したい」という思いがありました。そのためには大学には進学せず、就職して「安定した人生を送る」ことを最優先に考えて老舗企業を志望、卒業後は当時創業80年だった㈱神戸屋レストランへ入社しました。新人研修を経て東京の成城店へ配属されましたが、それまでパンを作ったこともなかったので、ゼロからのスタートとなりました。入社当時のパン作りは体力仕事で、ひとつ20㎏のパン生地を扱わなければなりませんでした。学生時代に野球をやっていたことが幸いし、長時間手と力を使う仕事は私に合っていたのではないかと思います。近年は機械化が進み、さらに小ロットで多品種のパン作りに移行していますので、次第に力仕事ではなくなりました。

コンテストに挑戦する社員をバックアップする社風

 私も入社直後から「いつかパンのコンテストに出場したい」という希望を持っていました。各店舗にはコンテストに出場経験のある上司や先輩が何人もいるので、彼らを励みに、若手のころは出場をめざして一生懸命に仕事に励んでいたと記憶しています。コンテスト出場は立候補をして上司推薦、社内選考を経て代表選出され国内予選に出場できますが、当社は社員のやる気を買ってくれる風土があり、コンテストに出場するためにさまざまなバックアップをしてくれるのも、有り難いことでした。そのためか、当社社員が日本代表として、途切れず選出される伝統が培われたのだと思います。コンテストの作品作りは仕事の後や営業中にも行うため、店長や他のスタッフの協力なくしてはできないからです。

世界一のチームワークで団体優勝
2年後には個人でも優勝

 2012年に挑戦したのはパンの世界大会「クープ・デュ・モンド」です。日本代表に選ばれると、中国で催されるアジア予選に出場し、パリの世界大会へと進みます。8時間という制限の中で仕上げる時間配分が重要で、作業性も常に審査される大会です。出場3名のチームワークを養うために事前合宿を行い、役割分担なども確認しました。作品は見た目、味、食感、香りを審査されました。世界大会も平常心で臨み、団体優勝することができました。「クープ・デュ・モンド」優勝で、2年後の「第2回マスタード・ラ・ブーランジェリー」の出場権が得られ、パン部門で個人優勝。「2014 MasterBaker」の名誉をいただきました。

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チャンピオンの肩書に捉われず常に真剣勝負で日々成長していきたい

 最初に優勝してから7年が経ち、パン職人として中途半端な仕事はできないなという思いに至っています。「チャンピオン」として常に注目されるプレッシャーに捉われることなく、今まで通り研鑽を積んで日々成長していきたいです。今は本部で後進の指導にもあたっていますが、現場ではパン作りと同じマインドをもって、真剣勝負で若手社員たちと向き合っています。一人前のパン職人をめざす彼らはみな真面目でモチベーションが高く、忍耐強いのが特徴です。

パン職人は早くスタートした方が可能性が広がる

 パン職人が若者に人気の職業となり、当社にも世界大会出場をめざして入社する後輩たちが、格段に増えました。かつての私が見た先輩たちの姿のように、若い人たちに「夢をみさせてあげること」が、彼らにとって何よりの励みとモチベーション維持にもなるでしょう。私は27歳で初めて日本代表になりましたが、手に職をつける仕事は、高卒でも専門学校卒でも、早く始めた方が可能性は広がると考えています。私自身もこの20年間で確実に実力が積み上がり、上手になっているという実感があるからです。
 美味しいものを食べると誰もが笑顔になり、幸せな気持ちになる、それがパンの魅力ではないでしょうか。パン作りの仕事は大変ですが、その職業を志望してくれるのはとてもうれしいことです。全国に美味しいパンが広がり、パン業界も活況になります。

パン職人をめざす高校生へのメッセージ

簡単にあきらめないで、気持ちのコントロールを心がける
自分にとって時に嫌な事もあるのが仕事です。特に手に職をつけるためには簡単にあきらめずに、続けることが大事だと思います。お客様からのうれしい声などやりがいはたくさんありますので、楽しく仕事することを心がけていると次第に良い方向に向かいます。そのためにも、気持ちのコントロールを心がけてください。

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