音楽アリーナ建設&運営のスペシャリストに聞きました

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株式会社Kアリーナマネジメント
エリアマネジメント部 部長
鳥山 彬弘さん

とりやま あきひろ▶1984年千葉県生まれ。東京都内の高等学校を卒業後、明海大学不動産学部で不動産金融を学び早稲田大学大学院ファイナンス研究科(当時)へ進学。2009年ケン・コーポレーション入社。2017年同社の「Kアリーナプロジェクト」発足時より参画。2018年横浜市より同社が開発業者に選定され当該用地を購入、建設着工。2023年9月日本初の音楽特化型大型アリーナ「Kアリーナ横浜」開業。本施設の運営全般を担っている。

人々の心を豊かにして音楽業界が発展する
「Kアリーナ横浜」をその象徴にしたい

パイを奪い合わずパイを増やすための音楽特化型大型アリーナ建設

 「Kアリーナプロジェクト」は、横浜市みなとみらい地区の「にぎわい施設の建設誘致」に入札参加、当社が選定されたことからスタートしています。
 発足時の2017年は、東京五輪開催の影響で都内近郊の大型施設が長期にわたり不足するという問題がありました。計画段階でバスケットボールはBリーグが設立されたばかりであり、民間施設の運営において重要な入場券単価を比較しても、音楽イベントに勝機があるのでは、という考えでした。私たちは元々音楽のプロではありませんが、不動産的視点で日本中の大型施設を視察したところ、多目的アリーナではなく、音楽に特化した施設に需要があると判断。自信を持って日本初・2万席のエンドステージ(ホール形式・写真参照)の大型アリーナ建設を採択しました。近隣に1万席規模のアリーナが複数あり、差別化を図ることで、パイの奪い合いではなくパイ自体を増やすような仕組みを作りたい、という思いがありました。


Ⓒ株式会社ケン・コーポレーション

搬入仕込みと搬出を効率化して1日でライブが完了する仕組み

 2年半にわたる設計の後、ソニーマーケティング(株)に舞台特殊設備のシステムインテグレーターとして、技術設定や方針を整理していただきました。さらに備え付けステージやスピーカー、照明・映像機器などは専門的な領域のため、舞台監督、音響、照明の各エキスパートの方々にアドバイザーチームに入っていただくことで、運用面での課題を洗い出し、制作側の使い勝手等を事前に調整して竣工しました。
機材と利用する人を繋ぐことで、これまで大型アリーナ公演では考えられなかった「1DAYコンサート」(搬入設営、公演、撤収を最短1日で完結)を実現しています。近年、舞台制作の業界にも人手不足の波が押し寄せており、人的な省力化や効率化は、大型アリーナ運営において特に重要になると考えています。

Kアリーナ横浜を中心とした街づくり「ミュージックテラス」

 2023年9月の開業から目標通りに稼働しており、順調に運営しています。「ミュージックテラス」(写真参照)にはKアリーナ横浜を中心としてレストランやバー、カフェ、ホテルなども併設。今後は横浜駅からの徒歩ルートが完成し次第、周辺でもにぎわいイベントを計画していきます。例えばこけら落とし公演の「ゆず×横浜」によるシティプロモーションのように、「ミュージックテラスに来れば何かやってて楽しそう」な街ぐるみのライブエンターテインメントを仕掛ける予定です。これまでは、ライブ会場の中で完結していたものを、会場の外にも発信することで「街づくりとエンタメの可能性」を追求していきたいです。


Ⓒ株式会社ケン・コーポレーション

コンサート来場者が中途入社
人生を変える“音楽の底力”を実感

 私たちは施設の運営側なので来場のお客様と直接会話する機会が少ないのですが、当社の中途採用社員の中には、Kアリーナ横浜でライブを観て施設に興味を持ち、入社した社員もいます。人の心を動かし、時に人生を変えてしまうのが音楽の底力だと実感しました。
 私たちは不動産業から音楽ビジネスに参入しましたが、いわゆる箱物を作ることが目的ではありません。音楽を中心とした街づくりを通じて、音楽業界の発展と人の心を豊かにする象徴として、Kアリーナ横浜が存在感を示すことができれば幸いです。

音楽業界に興味を持つ高校生へのメッセージ

人の心を豊かに、幸せにする仕事
音楽は衣食住とは違い、「感動を提供する」ものです。コロナ禍では音楽は不要不急なのか?と議論がありましたが、Kアリーナ横浜での仕事を通じて「音楽が人々を幸せにする」貴重な経験をしています。

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