トレンドマイクロ株式会社
インシデントレスポンスチーム所属
田中 啓介さん

たなか けいすけ▶大学卒業後、セキュリティソフト「ウイルスバスター クラウド」などで著名な、トレンドマイクロ(株)に入社。製品のサポート業務を経て、中央省庁担当のアカウントマネージャとしてセキュリティ監視、インシデントレスポンス、対策提言を実施。マネジメント業務を経て、インシデント対応支援サービスを主管。
自分の特性を深く理解してチームに貢献する
多面的なスキルで顧客を守るセキュリティ専門家
―仕事の内容について教えてください。
まず、「インシデント」という言葉をご存知でしょうか? 例えば、ある企業がサイバー攻撃にあい、顧客情報が漏洩したとします。そうなると、企業のイメージに傷がついたり、対外的な発表が必要になったりする場合がありますよね。顧客への補償の問題もあります。もちろん感染原因の調査や、再発防止策の立案も行わなくてはなりません。こうした一連の作業のことを、「インシデント対応」と言います。私が主に担当しているのは、この一連の流れの中でも、感染原因の調査や、マルウェアと呼ばれる不正プログラムの解析、そして業務復旧に向けた支援です。
他にも、まだインシデント被害にあっていない企業への提案活動に同行して、セキュリティに関するアドバイスも行っています。私が同行できない場合もあるので、こうした知見を資料にしたり、社内外で勉強会を開いたりすることもあります。また、セキュリティの大切さを多くの人に知っていただけるように、講演や本を出版するのも仕事の1つです。
―仕事のやりがいや面白さは?
困っているお客様に、具体的な解決策を提示できることですね。私の担当しているポジションだと、お客様から直接感謝の声をいただけるので、それもモチベーションになっています。そして、仕事で得た経験や知識を、被害を未然に防ぐために活用できることにもやりがいを感じますね。また、信頼できる仲間と仕事ができることも楽しみの1つです。自分のやっていることが、社会や他の人の役に立っていることを実感できる仕事だと思います。
―仕事において大切にしていることは?
たくさんありますが、2つに絞りました。1つは「相手の視点に立つこと」です。具体的には、社内外の色々な人の話を聞いて、誰がどんな仕事をしていて、何に困っているかを知ることです。そして、専門外の仕事にも触れて、他部署の仕事を理解することです。また、他人から勧められた本や音楽、漫画やアニメなどは、素直に見て色々な人の視点や価値観に触れることも意識しています。
もう1つは「効率的に楽しく仕事を行うこと」です。まず、目的が不明瞭な仕事や会議は、やめる方向で考えてみます。また、得意不得意があるので、得意なことを得意な人に任せて効率をはかることを心がけています。
―学生時代の経験で役に立っていることは?
学生時代に軽音楽サークルでギターを担当していました。でも、極めることが性に合わなかったせいか、ドラムやヴォーカルなど、他のパートもやるようになりました。そのときに、自分は1つのパートを極めるのは苦手だけど、複数のパートで平均点以上を出すのは得意だと気づきました。この学生時代の気づきが、今の仕事に役立っています。私は解析やプログラミングが、すごくできるわけではないけれど、どのポジションでも70点以上を取ることはできると思っています。こうした自分の特性を理解していると、それを活かした形でチームに貢献できます。また、色々なポジションを経験することで、100点を目指す専門家の本当の凄さが理解できると実感しています。
―今後の展望を教えてください。
今後はさらに信頼・尊敬できるメンバーを増やして、社会に提供できる価値を高めていきたいです。そのためには、自分自身のキャリアアップも必要なので、大きなカンファレンスで登壇したり、セキュリティ関係の洋書の翻訳をしたりすることを考えています。