保育園経営のスペシャリストに聞きました

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さこだ けんたろう▶埼玉県出身。立教大学経済学部経済学科卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経て、2003年3月社会福祉法人あすみ福祉会に入職し、常務理事に就任。2013年4月、同理事長に就任。以降、「茶々保育園グループ」は2021年6月現在、全国に16の保育園を展開するグループへと成長する。2018年2月、日本子育て学会理事に就任。

「この世の中を変えるような、すごい人間になりたい!」
それにピッタリな仕事は、実は保育士なんです。

「学んできたことが役立つかもしれない」
母の保育園の経営コンサルタントに

-保育の世界に進んだきっかけは何ですか?

 ちょうど30歳を迎える時でしたね。大学卒業後は経営の道に進んだのですが、当時はサービス業とか、海外事業とかに興味があって、保育業界は視野に入っていませんでした。その後色々な経験を積み、そろそろ自分で事業をやりたいなという頃、母親から、当時彼女が園長を務めていた「茶々保育園」についての相談を受けたんです。
 その保育園は保育・幼児教育の質はものすごく高いんですけど、それを実際に支える経営がされてなかった。子供たちへの愛情、地域の人たちへの福祉的な考えもしっかりして志も高いのに、マネジメントが足りていない状態でした。その時、「自分の学んできたことが役立つかもしれない」という思いが芽生えたんです。それから園の再建計画を作り、コンサルタントとして乗り出しました。

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-大変だったことは?

 それまで乳幼児教育や福祉の現場でずっと仕事をされてきた人たちと、外資系の世界にいた私のような人間との「共通言語」が全くなかったことです。例えば「スケジュールをフィックスする」なんて言おうものなら、宇宙語をしゃべっているように捉えられました(笑)。ただありがたいことに、そうした私のスタンスを面白がってくれる方や、新しい風と受け止めてくれる方も多くいてくれました。当時、私は園の皆さんとの間に高い壁を感じていましたが、今思うとそれはそう大したものではなかったのかもしれません。

Education is Empathy
相手をよりよく理解しあうことで、世界は変わる。

-今の園のスタイルに影響を受けたものは?

 私の母の代から、ヨーロッパの幼児教育をいろいろ参考にしています。特にドイツやイタリアは、子どもたちの立ち位置が社会の中心にあるというか、「子どもを育てること=社会創り」という思想が根幹にあって、大きな影響を受けています。他にもデンマークやスウェーデンなども素晴らしい福祉国家であり、学ぶところが多いと感じています。

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―運営にあたってのポリシーを教えてください。

 当法人のコンセプトは、「Education is Empathy」(教育とは、感情移入である)です。これはつまり「相手をよりよく理解することで、世界は変わる」ということです。「目の前の人や、近くの人の違いを、お互い認め合っていく」「多様性を前提として、物事を伝え合っていく」、言ってしまえばそんな身近なことで、世界は変えていけるんです。幼児教育という仕事は、単に子どもを預かってお世話をしているのではなくて、よりよい世界を作ることであるという考えの元、私たちは毎日取り組んでいます。
 ですからもし高校生の人が、今この世の中に閉塞感を感じていたり、面白くないなと感じていたりして、「この世の中を変えるような、すごい人間になりたい!」と思っていたとしたら、それにピッタリな仕事は、実は保育士なんです。そのことをもっと、これからも伝えていきたいですね。

―今後の目標は?

 チャンスがあれば海外に出て、様々な世界の物差しで私たちの保育を見てもらいながら、教育の質を高めていこうと思います。また、日本社会の中でも乳幼児教育施設・保育施設の地位を向上させたいとも思っていて、この仕事の凄さをもっと多くの人に認識してもらうためにも、保育業界の皆さん全員で連携しながら、頑張っていきたいですね。

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園内の光景。「モーニングトーク」では円形に座ることで保育士と子どもたちの互いの顔が見え、平等な立場で話し合える。

保育士をめざす高校生へのメッセージ

皆さんはこれから、新しい仕事を作っていく人たちです
これから世の中に出る人たちは、今ある職業の中から仕事を決めるというより、新しい仕事そのものを作っていける世代だと思っています。例えば保育士という仕事も、この先、AIやロボットなどの新技術とともにどんどん変わっていくと思います。そういう風に仕事そのものをクリエイティブにしていける。今の皆さんは、存在そのものがすごくワクワクしてうらやましいなと思いますし、そんな人たちこそ、この業界が待ち望んでいる人材なのかなという気がします。

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