漫画業界のスペシャリストに聞きました

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くすみ まさゆき▶1958年東京都出身。法政大学在籍中に美学校に通い、1981年に漫画雑誌「ガロ」(青林堂)でデビュー。以降、30年以上にわたり漫画原作者として活動を続ける。代表作は「孤独のグルメ」(画:谷口ジロー)、「花のズボラ飯」(画:水沢悦子)他多数。漫画業以外にもバンド活動、文筆業、装丁デザインなど多分野で活躍している。

やりたいことがあっても一人じゃできないなら、
違うことのできる誰かと組んでやればいいんです

漫画家よりも、どちらかと言えばミュージシャン志望?

―高校、大学時代のお話をお願いします。

 平凡な都立高校生で、将来の夢もまだなかったです。2年生の時に進路の話になって、昔から絵を描くのが好きだったので美大に行きたいと言ったら、先生からは「1年生からじゃないと遅い」と言われました。それでも美術の学校に行きたかったので、法政大学の二部で学びながら、神保町にある「美学校」にも週一で通いました。また、そこで会った年上の友達に紹介されてデザインの仕事なども覚えていきました。

―今のお仕事を始められたのは?

 漫画家デビューは大学4年の時です。当時角川書店の「バラエティ」という雑誌で小さなイラストは描かせてもらってたんですが、ある時、美学校で一緒だった泉晴紀さんが漫画家になりたいと言うので、彼のためにお話を作りました。その作品が「ガロ」という雑誌に入選掲載されたんです。ですから僕は、最初から漫画家になりたかったわけではないんです。どちらかと言えば、ミュージシャン志望だったですね。

気になった漫画家さんの絵で読みたい話を想像してしまう

―漫画の連載時にはどんな打ち合わせを?

 一話ごとの打ち合わせはそこまで重要じゃありません。どういう漫画を描くかという作品のプロットを最初にしっかり決めることこそ大事で、そこは連載前に何ヶ月もかけて考えます。話がどこにもいけるように。
 「孤独のグルメ」の場合、まず編集者さんが高級グルメでない、普通のグルメ漫画を望んできたので、どんな主人公がいいか考えました。主人公は大人の男だけど、僕はサラリーマンのことはわからないから個人で仕事をしている方がいい。いろんな所に行く人ならいろんなものを食べることができるけど、どんな仕事が一番いいか。そしたら、編集者さんの知り合いに個人で輸入雑貨商をしている女性がいるとわかって、その人から仕事のお話を聞くことができました。
 谷口ジローさんの画風から、主人公はがっしりした、こだわりのなさそうな男にしました。でも「弱点」もほしいから、大食漢だけどお酒が飲めない男にしよう。そんな風にしてできたのが、あの漫画の主人公の井之頭五郎です。

―作画担当の漫画家さんは、どうやって決まるのですか?

 編集者さんが決める場合も、僕の方からご提案する場合もあります。こちらから個人的にご指名、みたいなことはそうないですが、組んだ漫画家さんに対しては「この絵だったらこんな話を読んでみたいな」と考え、その人が楽しんで描いてくれるようにお話を工夫します。

昔から、誰かと組んで仕事をしてきました

―漫画原作者というお仕事に関して、若い人たちに伝えたいことはありますか?

 漫画だけじゃなくて、昔から誰かと組んで仕事をすることがすごく多いんです、僕は。音楽でもギターやボーカルの上手い人とバンドを組んで、僕が詩や曲を書いたりして。子供の頃も親や友達と一緒に絵やお話を作ったりとかしていて、多分生まれ持っての特徴ですね。でもどの場合でも、自分の方が相手より前に出ていくことはあまりなかったです。自分に自信がなかったのかもしれません。「二人でやれば怖くない」みたいな気持ちは今もありますね。
 ですから若い人には「やりたいことがあってもうまくいかないなら、自分のできないことができる誰かと組んでしまえばいい」と言いたいです。一人だと大変なことも恥ずかしいことも二人ならできますし、誰かと組むことでリラックスでき、より自由になれることが多いんです。

漫画業界をめざす高校生へのメッセージ

普通の雑誌に4コマ漫画を持ち込みましょう
漫画家になりたいという人は、まずは本屋さんに行って雑誌のコーナーを見てください。PR誌やフリーペーパーとかも含めて何百冊とあります。その中から猫の雑誌でも電車の雑誌でも、自分が好きなことの雑誌を選んで、そこの編集部に4コマ漫画を描いて持ち込んでください。内容はゆる~いのでいいです。 漫画誌よりライバルはなく、敷居はずっと低いです。やみくもにメジャーな漫画誌をめざすよりは、まずはそんな風にとにかくデビューして、若いうちからどんどんプロとして経験を積んでほしいです。

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