環境分析のスペシャリストに聞きました

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えぐち ひろき▶高校卒業後、大学の理学部化学科に進学。大学卒業後は、修士課程で2年間学ぶ。修士課程修了後、環境分析の会社に就職。2020年10月に転職し、株式会社総合環境分析に入社。現在に至る。環境計量士の資格を保有。今後は、液体クロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィー、様々な手分析を経験することと、土壌汚染調査技術管理者の資格の取得を目標としている。

分析業務を通して地域の安心・安全を守る
分析結果が妥当かを常に意識することが重要

環境分析は安全な暮らしに直結している

 現在の仕事では、飲み水や排水中の細菌を調べることが多いです。他には、油や土壌、ボイラーの排出ガスなどの気体を分析することもあります。たとえば、飲み水の場合、大腸菌が混入していれば人体に害を及ぼしますから、分析することが安心安全な暮らしを守ることに直結します。この仕事は、病院と似たところがあります。たとえば、排水や飲み水を普段から分析して大丈夫かどうかを調べるのは、病院でいう健康診断に似ていると思います。災害時などに緊急の案件があれば、迅速に対応しなければならないのも、病院でいう救急搬送に似ていると私は感じています。

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分析結果が妥当かを常に意識する

 分析方法は、大きく分けて2通りあります。一つは滴定や蒸留、試薬添加による発色などの手分析。もう一つはガスクロマトグラフなどの機械を使う分析です。仕事で大切にしていることは、分析の結果が妥当かを常に意識することです。機械で分析したから間違いないはずだとか、手分析だから精度が低いという思い込みは持たずに、過去の値や見た目、他の分析項目との比較など、得られた結果が正しいかどうかをあらゆる角度で考えることを大切にしています。些細なことに気を配る、繊細さもこの仕事に必要な資質だと思います。

緊急時に迅速に対応し地域の飲み水を守る

 弊社では、浄水場のような大きな施設の水の検査もしています。たとえば、自然災害や施設の故障などの復旧後、緊急で検査をしなければならないこともあります。すぐに対応しないと、被害を受けた地区の人たちが水を飲めないという事態になりかねません。ですから、通常なら2週間かけて検査するようなことでも、非常時になると1日で検査して結果を出す必要があります。こうした場合には、残業になることもあるのですが、お客さんから「迅速に対応いただいてありがとうございました」といったお礼をいただくことも多いです。そんな声を聞いたときは、自分のやっていることが社会に貢献していると感じられ、「これからもがんばろう」という気持ちになります。

社会貢献したい人に向いている仕事

 環境分析の仕事は、お客さんに正確な結果を報告をするために、責任をもってやらなくてはならない仕事です。ほとんどの会社は社会貢献をしていると思いますが、実際にそれが感じられるかというのは別だと思います。会社によるかもしれませんが、環境分析の仕事は実際に自分の業務がどう役に立ったかがわかるので、ダイレクトに社会に貢献していることが感じられます。ですから、人の役に立ちたいとか社会貢献したいという思いが強い人は、この業界を視野に入れてみるといいのではないでしょうか。

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環境分析の仕事をめざす高校生へのメッセージ

もう一歩踏み込んで調べてみるという経験が重要
この仕事は「些細な変化を気にする」ということが重要なので、勉強でも日常生活のことでも、何でそうなっているのかを、もう一歩踏み込んで調べてみるという経験が生きると思います。また、環境のイベントなどに参加して、広い視野を持つことも大切です。

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