カーショップ経営のスペシャリストに聞きました

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いしかわ けんじ▶大学卒業後、(株)IDOMに入社し、本社で事業戦略などに関わる。その後、スポーツカー専門の中古車販売店に転職し役員等を務めた後、約2年間、IT企業を経験。2018年、東京の武蔵村山市にスポーツカー専門の中古車販売店、HMR(株)を立ち上げ(後に西多摩郡に移転)、ホンダのスポーツカーを中心に中古車販売、各種メンテナンスやチューニング事業を展開。

安心して車を購入できるスポーツカー専門店を作る
販売員にはメンタル、整備士には探究心が必要

自由に楽しく生きるために会社を設立

 スポーツカーが好きで、自由にスポーツカーを売って楽しく生きたいという思いから、HMR株式会社を立ち上げました。独立してお金儲けをしたいという考えはまったくなく、ただ自由に生きたかったのです。どんなお客さんに対しても、安心してスポーツカーを買ってもらえる環境を作っていくというのが弊社のビジョンです。
 ですから、社員に言っているのは、お客さん側に立った安心できる中古車の販売をやっていこうということです。そのための取り組みとして、商品車に関しては、YouTubeで内装・外装・試乗の動画をすべて公開。この動画は好評で、お客さんが100人いたら100人が動画を見ていただいてるようです。また商品車が入庫したときにメカニカルな状態をすべてチェックし、お客さん側からもWEBで確認できるようにしています。納車前の点検整備も、車検に通らない個所や走行上不都合がある個所はすべて直しています。その際にどれだけ修理費がかかっても、決められた点検整備の費用以外の追加代金はいただいていません。

販売員にはメンタル、整備士には探究心

 中古車販売をするうえで大切な資質は、メンタルの強さですね。絶対に壊れない中古車なんてないので、何台も販売していたらいつか壊れる車に当たります。そのときに、お客さんからのクレームに対して気持ちを維持しながら、適切な対応ができるメンタルがないと中古車販売の仕事をするのは無理です。そして、ただの御用聞きではだめなので、車を売る際にもメンタルの強さは重要ですね。
 また、自動車の整備士なら探究心がある人を雇いたいです。「これはなんでこうなっているんだろう」とか「この原因って何だろう」とか常に自分で疑問に思う整備士って、より深く調べようとしますし、数値には出ない振動や音などにも敏感です。それだけに色んな経験をしますし、知識も増えます。やっぱり探究心がある人のほうが、整備士として圧倒的に伸びます。言われたことだけをやって、お客さん側から「ここも見てよ」と言われているようではダメだと思うのです。整備士から「ここも気になったから、見ておいたんです」と言われた方がお客さんに、「ああ、この人だったら任せられる」と感じてもらえます。

強い目標がある人は圧倒的に成長が速い

 結局、経営をするにしても販売や整備をするにしても、一番大事なのは本人が何をやりたいのかだと思います。特にやりたいことがなくて、なんとなく楽しそうな仕事だからやってみようという感じだと、厳しいことがあるとすぐに逃げてしまうのです。将来的にこういうことをやりたいから、今ここでこれをやるんだというふうな強い目標があったうえで、仕事をしないと、基本的に人間の心は弱いから楽な方に逃げてしまう。特に高校や大学を出たての若い人は、そういう意思があるかないかで、打たれ強さがまるで違いますし、圧倒的に成長の速度も変わってきます。

2030年までにスーパーGTに参戦する

 HMR株式会社を立ち上げた当初は、自由にやれたらいいなという感じでした。けれど、事業を展開する中で会社もどんどん大きくなってきて、そうなると自分のやりたいこともどんどん大きくなってきました。もともとレースがすごく好きなので、会社の経営目標として2030年までに、スーパーGT(市販車に大掛かりな改造を施したレーシングカー(GT)レースの国内最高峰)に自社のチームで出場することを掲げています。その目標に向けて、国内で行われているスーパー耐久レースに2022年から自社のチームでエントリーします。

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自動車業界をめざす高校生へのメッセージ

困難を乗り越えることで、よりよい環境を築いていける
どんなに車が好きでも、仕事として関われば、最初はつらいことのほうが多いと思います。そこで嫌になってやめるのではなく、やっぱり乗り越えてほしいですね。乗り越えたときには、以前よりも楽しく仕事ができる環境が絶対待っているので、そこまでたどり着くまで負けないで頑張ってほしいと思います。

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