航空整備のスペシャリストに聞きました

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よしい たかし▶埼玉県出身。国際航空専門学校航空整備科でヘリコプターの整備を学んだ後、ヘリコプターを使った航空輸送や測量事業を手がける朝日航洋株式会社へ入社。資材輸送や送電線の監視業務などを経て現在は、救急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)の整備士を務める。

責任と誇りを持って仕事をすることが大切
人の命を守るドクターヘリの整備士

操縦士と搭乗することも

―現在のお仕事の内容を教えてください。

 現在は病院に配置されるドクターヘリの整備を担当しています。とは言っても、当社の業務は幅広く、入社当時は物資の輸送やヘリコプターを使った送電線の監視業務などに携わってきました。国家資格に加えて、当社のヘリコプター十数機種のうち4機種で社内ライセンスを取得しています。

―ヘリコプターの整備士にはどのようなお仕事があるのでしょうか。

 ヘリコプターの整備には工場整備と運航整備との2つがあります。工場整備は地上での機体の点検や修理をすることで、これは一般の航空機と同じです。一方、運航整備は操縦士と一緒にヘリコプターへ乗り込み、機内での点検や無線の操作、また、操縦士の目視できない部分を代わりに見たり、状況を伝えたりして、操縦士の補佐的な役割を果たします。

スケールの大きな航空機の世界に憧れて

―いつ頃から現在のお仕事に就こうと考えていましたか?

 昔から、机に向かうよりは手を動かすことが好きだったので、手に職をつけたエンジニアになりたい、という漠然とした思いはありました。工業高校の電気科へ進み、部活では陸上競技をやっていました。航空整備とは全く関係のない高校生活でしたが、たまたま授業の一環で航空会社の工場見学をした際、航空機のスケールの大きさに圧倒され、航空業界に興味が湧き、航空整備士を目指そうと思うようになりました。高校を卒業後、国際航空専門学校へ進学。ヘリコプター整備を専攻しました。

―なぜヘリコプターだったのでしょうか。

 まず第一に、先ほどもお話したように、ヘリコプターに搭乗する運航整備があり、工場内で整備をするだけではなく、いろいろな場所に飛べることに興味をひかれました。もう一つは、機体全体を見渡しながら整備できることです。例えば、航空会社で大型旅客機を整備する場合は、規模が大きいため、1 人あたりが担当する部分は限られます。一方、ヘリコプターの整備は1 機を2 ~ 3人で担当するため、機体全体を見渡すことができ、やりがいがありそうだと感じたのがヘリコプターを選んだ大きな理由です。

―ヘリコプターと通常の航空機との違いは?

 学校で学んだことで言えば、基本的な工具の使い方や、整備の基本的な作業は変わりません。大きな違いは、ヘリコプターは固定翼の航空機に比べて回っている部分が多く、仕組みが複雑なことです。可動部が多い分、よりデリケートで、注意深い作業が必要となります。また、整備上の特徴ではないですが、ヘリコプターは離陸時の助走がなく、「フワッ」とした不思議な飛び心地がするのも面白い点ですね。

妥協の許されない仕事

―お仕事をする上で気をつけている点は?

 責任と誇りをもって仕事をすることだと思います。私たちの仕事は、常に人命を預かっています。当然のことですが、部品は1つでも紛失すれば見つかるまで捜索しますし、妥協していいという点は1つもありません。また、現在はドクターヘリに搭乗する業務もあり、自分の仕事を一般の方が見ているという状況が多く、そうした環境で良い緊張感を持って仕事ができています。
 運航整備は基本的に1人きりで務めるため、ときにプレッシャーに感じることもあります。工場整備と違って設備も十分ではない中、妥協なく整備をすることは本当に大変です。しかし、逆に言えば、それが大きなやりがいでもあります。
 決して楽な仕事ではありませんが、緊張感の中でも毎日楽しく過ごせています。やはり仕事は楽しめることが一番です。高校生の皆さんにも、ぜひ自分が楽しめる仕事を見つけてほしいと思います。

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航空の仕事をめざす高校生へのメッセージ

興味があることに積極的にチャレンジしよう!
私は、勉強はあまり得意でなかったですが、航空機の魅力を知ってからは、整備のこと、ヘリコプターのことについては没頭して学ぶことができました。とにかく、自分の興味があるものを見つけて、積極的にチャレンジしてみてください。

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